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2011 年度 実績報告書

Argonauteタンパク質MIWIとポリA鎖結合タンパク質による翻訳制御

研究課題

研究課題/領域番号 22580384
研究機関筑波大学

研究代表者

柏原 真一  筑波大学, 生命環境系, 准教授 (00254318)

キーワード精子形成 / Argonauteタンパク質 / ポリA鎖結合タンパク質 / 翻訳制御 / MIWI/PIWIL1 / プロタミン / Y-boxタンパク質
研究概要

MIWI/PIWIL1は、精巣特異的Argonauteタンパク質のひとつであり、その欠損マウスでは精子形成が球状精細胞の段階で停止する。申請者らは以前に、MIWIがポリA鎖結合タンパク質PABPC1と相互作用することを報告した。PABPC1は翻訳調節因子であることから、MIWIは翻訳にかかわっているのではないかと考え、昨年度に続き解析を行った。一方、精巣特異的なポリA鎖結合タンパク質であるPABPC2の機能についても、その欠損マウスを用いて検討した。
1.MIWIの機能解析・・・昨年度、MIWIをλNペプチド融合タンパク質として、またホタルルシフェラーゼmRNAのORF下流にλNペプチド結合部位であるBoxB配列を6個有するようなレポーター(F-Luc-6BoxB)とともにHEK293T細胞で共発現させ、λNペプチドの有無によるルシフェラーゼ活性の変化を調べた(λN-tethering assay)。その結果、MIWIはAGOタンパク質と同様、レポーターmRNAの翻訳を抑制することが判明した。しかし、23年度における解析の過程でF-Lucの代わりにウミシイタケのルシフェラーゼ(RLuc-6BoxB)を用いたところ、顕著な抑制効果は認められなかった。これらの差異の原因に関しては、現在検討中である。
2.PABPC2の機能解析・・・PABPC2欠損マウスは、精子形態や妊孕性において野生型との有意な差は認められなかった。しかし、精巣特異的な分子について解析を行ったところ、精子特有な核構造の形成にかかわる遷移タンパク質TPやプロタミンの翻訳が、伸長精細胞以前の球状精細胞の段階ですでに開始されていることが明らかとなった。これらタンパク質が存在するにもかかわらず球状精細胞の形態を保っていることは非常に興味深い現象であり、翻訳されたこれらタンパク質とヒストンとの置き換わりの有無等について、今後検討する必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

MIWIによる翻訳抑制機構の解析に関しては、用いるレポーターによって抑制効果が異なるといった結果が得られたため、この点について明確にする必要性が生じた。そのため、Y-boxタンパク質の解析にも若干の遅れが生じている。
しかし、PABPC2欠損マウスの解析は、ほぼ予定通り進行している。

今後の研究の推進方策

精巣抽出液を用いた場合の、MIWIとPABPCおよび翻訳抑制因子PAIP2との結合は明らかであるので、それらの関係を精製タンパク質を用いてさらに明確にしたうえで、翻訳との関わりについて再検証していく。Y-boxタンパク質については、それ自身では体細胞と生殖細胞での機能が異なることを示すような結果が得られているので、精巣において協調的に機能する因子を探索する。PABPC2欠損マウスにおいては、特定のタンパク質の翻訳が早まっていることから、その機構について検討する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2011 その他

すべて 学会発表 (8件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Possible function of testis-specific PABPC, PABPC2, in translation during mouse spermatogenesis2011

    • 著者名/発表者名
      中本佳宏、宮垣佑、木村正紀、柏原真一、馬場忠
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年回
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜)
    • 年月日
      2011-12-13
  • [学会発表] TZF遺伝子欠損マウスは雄性不妊である2011

    • 著者名/発表者名
      吉田薫、佐古典久、石塚晶道、大塚絵里、井上敦人、小高みれい、大島裕隆、田村徳久、馬場忠、柏原真一、岡部勝、野口純子、萩原啓実
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年回
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜)
    • 年月日
      2011-12-13
  • [学会発表] RNA結合タンパク質による精子形成制御2011

    • 著者名/発表者名
      柏原真一
    • 学会等名
      特定領域研究「生殖系列の世代サイクルとエピゲノムネットワーク」第4回公開シンポジウム
    • 発表場所
      千里ライフサイエンスセンター(豊中)
    • 年月日
      2011-11-18
  • [学会発表] Testis-specific Argonaute protein MIWI mediates translational silencing in a GW182-independent manner2011

    • 著者名/発表者名
      山岡悠太郎、石田和之、柏原真一、木村正紀、岩崎千恵子、田中文、馬場忠
    • 学会等名
      The 2^<nd> World congress on reproductive biology
    • 発表場所
      CAIRNS CONVENTION CENTRE(オーストラリア)
    • 年月日
      2011-10-11
  • [学会発表] Translational regulation by poly(A)-associated factors during spermatogenesis2011

    • 著者名/発表者名
      柏原真一、浦上愛、石田和之、木村正紀、田中文、馬場忠
    • 学会等名
      特定領域研究「生殖系列の世代サイクルとエピゲノムネットワーク」若手勉強会
    • 発表場所
      大阪アカデミア(大阪)
    • 年月日
      2011-07-14
  • [学会発表] Relationship between chromatoid body and heat stress2011

    • 著者名/発表者名
      山岡悠太郎、柏原真一、木村正紀、馬場忠
    • 学会等名
      特定領域研究「生殖系列の世代サイクルとエピゲノムネットワーク」若手勉強会
    • 発表場所
      大阪アカデミア(大阪)
    • 年月日
      2011-07-14
  • [学会発表] Testis-specific cytoplasmic poly(A) polymerase, TPAP/PAPOLB, enhances translation of target mRNAs2011

    • 著者名/発表者名
      柏原真一、浦上愛、田中文、木村正紀、馬場忠
    • 学会等名
      The 16^<th> annual meeting of the RNA society
    • 発表場所
      京都国際会議場(京都)
    • 年月日
      2011-06-17
  • [学会発表] Relationship between chromatoid body and heat stress2011

    • 著者名/発表者名
      山岡悠太郎、柏原真一、木村正紀、馬場忠
    • 学会等名
      The 16^<th> annual meeting of the RNA society
    • 発表場所
      京都国際会議場(京都)
    • 年月日
      2011-06-17
  • [備考]

    • URL

      http://www.acroman.org/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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