研究概要 |
地球温暖化に繋がる温室効果ガス排出量削減を達成するために,地球上に豊富に存在し,地球環境に優しい海水を有機溶媒の代わりに反応溶媒として使用でき,かつ有機合成化学において特に重要な不斉アルドール反応やマイケル付加反応を促進する高機能有機触媒を開発する。さらに,開発した有機触媒をブルオラス修飾することにより,回収リサイクル使用を可能とする環境に優しい不斉触媒反応を開発する。また,本不斉反応によって得られた光学活性体を鍵中間体として,種々の生理活性化合物の合成に応用し,医薬品開発を目指す。 研究代表者(三浦)は平成24年3,月までに,独自に開発した有機分子触媒を基に,水中での不斉アルドール反応における水の影響を詳細に検討した実験結果を発表した(Tetrahedron : Asymmetry,2011,22,1028.)。さらに,フルオラス化した有機触媒を数種類調製し,回収再利用可能な水中での不斉アルドール反応を報告した(Tetrahedron,2011,67,6340 ; Org. Biomol. Chem.,2012,10,2209.)。また,マレイミド化合物とカルボニル化合物との不斉マイケル付加反応を効率的に促進できる新規有機触媒を開発し(Tetrahedron : Asymmetry,2011,22,1605.),さらに,フルオラス化することにより,回収再利用を可能にした(Tetrahedron Lett.,2011,52,4158.)。今後,海水中でより効果的な有機触媒の開発を検討するとともに,種々の不斉反応への適用拡大を目指す。実施予定の不斉反応として,水中での不斉マンニッヒ反応を始めとした有用な不斉触媒反応への応用を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度,水中での不斉アルドール反応に関する3報の論文を発表した。さらに,マレイミド化合物とカルボニル化合物との不斉マイケル付加反応に関する2報の論文を発表しており,研究目的の達成に向けて,研究成果は着実に発表しつつあり,おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後,海水中でより効果的に機能する有機分子触媒の開発を検討する。また,現在までに成功した不斉アルドール反応やマレイミドの不斉マイケル付加反応以外の種々の不斉反応への適用拡大を目指す。寒施予定の不斉反応として,水中での不斉マンニッヒ反応やビニルスルホンの不斉マイケル付加反応を始めとした有用な不斉触媒反応への応用を検討する。さらに,開発した不斉反応から得られうる光学活性体を用いて,種々の生理活性化合物の合成を達成し,医薬品開発を目指す。
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