研究概要 |
昨年度に引き続き種々の遺伝資源植物から特に糖鎖伸長酵素に重点を置いてクローニングを実施し、その触媒機能を解析した。また、酵素合成法によって生産したquercetinの2糖配糖体を用いて、その消化管吸収特性の検討に着手した。 (1)クチナシからアポカロテノイド配糖体の糖鎖伸長反応を触媒する糖転移酵素UGT94E5の単離に初めて成功し、その機能を詳細に解析した。本酵素と昨年度の研究によって単離していたUGT75L6を組み合わせて用いることにより、アポカロテノイドアグリコンからクチナシおよびサフランの黄色色素で有用性の高いcrocinを大量に得ることが可能になった(FEBS Letters 586 : 1055-1061)。 (2)ハマボウフウから、プレニルクマリンとしてユニークな構造を持つoestol配糖体の糖鎖伸長酵素の単離に成功した。Oestolには種々の生理活性が知られており、その配糖体生産が可能になることにより、消化管吸収性の比較検討の基盤が形成された。 (3)すでに報告しているone pot-two enzyme system(FEBS Letters 581 : 2562-2566)を用いることにより、quercetin7, 4'-diglucosideの大量生産システムを確立した。この方法を用いて生産したquercetin7, 4'-diglucosideの消化管吸収についてラットを用いた検討を開始した。
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