本年度は研究計画の最終年度に当たり、以下の5つの検討を行った。 1)栽培可能な植物資源であるSalvial leucantha (ブッシュセージ)から水-メタノール系という比較的環境に負荷のかからない溶媒を用い Salviandulin E を多量に得ると共に、その誘導化を行い、抗トリパノソーマ活性を検討した。その結果、in vitro 高活性化合物を見出した。今後、in vivo 試験を通して抗トリパノソーマ薬の開発を進める予定である。 2)容易に入手可能な Chamaecyparis pisifera(サワラ)や Rosmarinus officinalis(ローズマリー)を原料として、カテコール性アビエタン型及びイセテキサン型ジテルペン類の単離方法を開発した。これによりカルノシン酸の単離が容易になった。一方、カルノシン酸の誘導化を行い、強心作用を有するシード化合物を見出すことが出来た。 3)リパーゼ TL を用いた光学分割反応に関して、低温恒温インキュベータを用いて、厳密な温度制御条件下化学収率や光学純度の変化を引き続き検討した。 4)リパーゼTLを用いる光学分割反応を鍵反応として得られたピペラジン酸両鏡像異性体とアミノ酸の縮合を検討した結果、満足する反応条件を見出した。しかしながら、lydiamycin のコアである大環状デプシペプチドのマクロ環化反応には至っていない。 5)マイクロ波を用いる Suzuki カップリングを鍵反応として、CJ-14877 の5位アナログの合成を検討した。現在これらのインターロイキン産生阻害活性を指標とし抗炎症活性を評価している。
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