研究課題/領域番号 |
22590024
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
小関 稔 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (40465597)
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研究分担者 |
山下 正行 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (20239982)
細井 信造 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (60209236)
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キーワード | tandem反応 / グリーンケミストリー / キラルアミン / 多連続不斉炭素 / Michael付加反応 / α-ヒドロキシ-β-アミノ酸 |
研究概要 |
近年、グリーンケミストリーの観点から環境に負荷を与えない環境調和型反応の開発が求められている。中でも一度の実験操作で複数の反応が進行するtandem型反応は、反応行程数や廃棄物を削減できることから重要な研究課題の一つである。このような研究背景のもと申請者は昨年度の研究において新規キラルアミンのα,β-不飽和エステルへの不斉Michael付加反応で生成するエノラートを種々の求電子剤でトラップし、最大5連続不斉炭素の構築を可能とするtandem型反応の開発に成功した。当該年度は本tandem反応の更なる応用として生理活性化合物に多く見られるα-ヒドロキシ-β-アミノ酸骨格の構築を可能とするtandem型反応の開発を計画した。特に本研究ではエノラートの直接的な酸化では構築困難なSyn体の選択的合成法の開発を目指して検討を行った。検討の結果、THF溶媒中、基質としてtert-ブチルシンナメイトを用いキラルアミンの不斉Michael付加で生成したエノラートを(-)-カンファリルスルホニルオキサジリジンで酸化すると目的のα-ヒドロキシ-β-アミノエステル誘導体を収率75%,major:minor=15:1の選択性で得ることに成功した。Major体は結晶性化合物であったためX線結晶構造解析の結果、アミノ基と水酸基は目的のsyn配置ではなくanti配置であることが分かった。そこでsyn配置を立体選択的に構築する事を目的に、酸化剤のスクリーニングおよび添加剤によるリチウムエノラートの凝集状態のチューニングを検討した。しかしながら収率,選択性に差がみられるものの現在のところsyn体を主生物として得るには至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の研究目的であったsyn配置を有するα-ヒドロキシ-β-アミノ酸骨格を立体選択的に与えるtandem反応の開発が未達成であった。原因として、本反応では最大4種類の異性体が生成するうえ、生成物の極性が高いため単離精製等に予想以上に時間を要し反応条件のスクリーニングが効率的に進められなかった事が挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はsyn配置を有するα-ヒドロキシ-β-アミノ酸骨格を立体選択的に与えるtandem反応の開発を引き続き検討する予定である。申請者はキラルアミンのα,β-不飽和エステルへの不斉Michael付加反応の初期の研究において、溶媒をTHFからジエチルエーテルへと変更すると立体選択性が逆転するという興味深い知見を得ている。これらの知見をもとに次年度は溶媒のスクリーニングを中心に反応条件の最適化を検討する。 更に、開発したtandem反応を鍵反応に用いα-ヒドロキシ-β-アミノ酸骨格を有するvalinoctine A,Bやbestatin等の生理活性化合物の合成を検討する。
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