研究概要 |
本研究ではコンビナトリアル化学の手法を利用して,触媒候補となるカリックスアレーンライブラリーを効率よく合成し,その中から酵素のように高い反応効率と基質特異性をもち,かつ再利用可能な触媒を効率よく作製する一般的な方法を確立することを目的とする.合理的なライブラリーを設計するためには,基質結合部位となるupper rimに結合させる4本のアームをいかに修飾するかがポイントとなる。これまで筆者が行ってきたカリックスアレーンライブラリーの合成経路では,4本のアームには同じビルディングブロックを導入することしかできなかった.より高い基質特異性と反応性を確保するためには,それぞれのアームに異なるビルディングブロックを導入する必要がある.そこで,アームを二つのグループに分け,隣同士のアームにはそれぞれに異なったビルディングブロックを導入することとした.市販のカリックス[4]アレーンを出発原料とし,まずはこれを固相担体に結合させるため,lower rimにリンカーを導入した.続いて,upper rimを臭素化し,2当量のn-ブチルリチウムと処理し,続いてDMFと反応させることによって対面する2個の臭素を選択的にホルミル化することに成功した.ホルミル基をヒドロキシメチル基へと還元し,生じた水酸基をシリル基で保護した.続いて残り2個の臭素原子を同様な処理によってホルミル化した.続いて還元的アミノ化を生じたアミノ基をBoc基で保護した.続いてシリル基を脱保護し,同様な操作を行って生じたアミノ基をAlloc基で保護した.最後にlower rimに結合したリンカーを介して固相に担持した.ビルデイングブロックに異なる二つのアミノ基の保護基を導入したコア化合物を市販のカリックス[4]アレーンから19段階で合成する経路を確立した.
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