研究概要 |
8員環への閉環反応の立体化学を検討するため,C環が6員環となった化合物と,A環部に相当する2-アリルシクロペンタノンのヒドラゾンを,シャピロ反応により炭素炭素結合を形成した.この化合物は8員環には閉環しなかったため,酸化してケトン誘導体とした.しかし本化合物も良い収率では閉環しなかった.そこで塩基性過酸化水素の条件でエポキシ化すると4種の異性体が得られた.それぞれを分離して別々に閉環反応を試みた.すると4つの異性体のうち1つだけが収率80%で8員環に閉環した.もう1つの異性体では収率は数%に止まった.他の2つは何れも全く閉環せず,7員環に環縮小した化合物や,試薬が付加した化合物などが生成した.得られた化合物の2次元NMRを詳細に検討して立体化学を決定した.幸いにも良好な結晶が得られたため,X線結晶解を行うことが出来た.これですべての立体配置が完全に帰属出来,当初の予想の正しいことが証明された.この結果エポキシドの酸素官能基は望む天然物のそれとは逆であることが明らかと成ったため,エポキシドを開環して水酸基に変えなくてはならない.そこで,硫酸,塩酸,あるいは各種ルイス酸を用いて反応させたが,開環反応は逆になるか,あるいは複雑な混合物となった.今後来年度に向けてこの点を検討しなければならない. 一方C環およびD環に相当する5,6員環を有する化合物のキラル合成を目論み,イソカルボンから合成する計画を立て,原料となるペリリルアルコールからイソカルボンを合成した.さらに数段階で目的化合物に誘導することを検討している.
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