研究概要 |
本年度は,四種の活性化合物ネオビブサニン(1),メリラクトンA(2),タアラアミデイン(3)ならびにフェニルブタノイドダイマー(8)の合成研究が順調に進み、特に、ネオビブサニン(1)、タアラアミデイン(3)ならびにフェニルブタノイドダイマー(8)の全合成を完了した。さらに、構造活性相関ならびに各種阻害剤を用いた薬理学的手法ならびに免疫組織学的手法を駆使して細胞内シグナル伝達系リン酸化亢進タンパクの同定により,1と3の活性化合物の作用機序を解析した。また、8の神経変性疾患モデルマウスに対する有効性も検討した。 1.ネオビブサニン(1)のラセミ体が合成できたので、両鏡像体の活性を評価した。ラセミ体での神経栄養因子活性に差が認められなかった。さらに、ネオビブサニン(1)の活性発現に必須のファーマコファーを明らかにし、それを基に蛍光分子プローブが調製できた。この蛍光分子プローブを用いてPC12細胞内の作用部位および標的分子を検討した。 2.タアラアミデイン(3)の8種の異性体の合成が終了したので、PC12細胞とラット大脳皮質初代培養神経細胞を用いて異性体の構造活性相関を実施した。最も活性の強い異性体は全ての置換基がシス配置であることがわかった。 また、この化合物の大量合成法も確立できた。各種阻害剤を用いた薬理学的手法ならびに免疫組織学的手法により、タアラアミデインはAKT細胞内シグナル伝達系を活性化していることも明らかにできた。 3.フェニルブタノイドダイマー(8)のマウス嗅球摘出学習障害モデル対する作用を検討した結果、海馬領域の神経細胞の新生ならびに学習改善効果が認めら、神経変性動物モデルに対しても効果があることが証明できた。
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