研究概要 |
平成22年度は、α-グルコシダーゼ阻害薬およびホルモン「インスリン」の分泌を促進するすい臓内物質G蛋白質共役型受容体(GPCR)活性化物質を指標として,キノコ類,地衣類および苔類より、糖尿病予防薬の探索研究を行った。活性物質の誘導体の合成については、化学反応および微生物変換により行い、構造活性相関についても検討した.四国各地のキノコ類,地衣類および苔類の採集を行い、採集したキノコ類,地衣類および苔類は、エーテル、酢酸エチル、メタノールなどを用いて抽出した。得られた抽出エキスは,α-グリコシダーゼ阻害活性およびGPCR活性化作用を指標として、シリカゲルおよびSephadex LH-20カラムクロマトグラフィーにより分画し,さらに高速液体クロマトグラフィーにより,活性物質の単離を行った。地衣類ハナゴケ,ナガネツメゴケ,ウメノキゴケの粗エキスに活性を示した.大量に採集したイワタケより強力なα-グルコシダーゼ阻害物質の探索を行い、強いα-グルコシダーゼ阻害活性を示す新規芳香族化合物を単離した。食用キノコ、ハナビラタケ(Sparassis crispa)のアルコール抽出エキスは、動物実験により、抗糖尿病活性を有することが証明され、国内特許を申請・受理された。ハナビラタケから得られる脂肪酸類がGPR40に対してアゴニストとして作用し、GPR120に対しはアンタゴニストとして作用していることが見出された。ニンギョウタケモドキ科キノコおよび冬虫夏草オオセミタケより新規化合物の単離を行い、抗糖尿病活性について検討中である。苔類より、糖尿病および肥滿症の治療におけるSGLT阻害剤の探索研究を行い、ゼニゴケなどに含まれるMarchantin類が強い活性を示すことが明らかになった。
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