研究概要 |
研究代表者は、これまでの研究により、鶏卵卵黄中からのシアル酸含有ヒト型11糖鎖ペプチド(SGP)の新規抽出および精製法を明らかにしてきた(特願2009-203340)。今期、本手法が大量処理の妥当性検証を行った。すなわち、実験室レベルで鶏卵卵黄を一度に50個処理することを複数回試みた。いずれの場合もエタノール沈殿と脱塩操作により、これまで通りHPLC純度95%以上でSGPが得られ、大量処理が可能であることの確証を得た。更に、脱塩操作工程においてODS樹脂を用いたクロマト操作を2度行うことで従来報告されていない高純度SGPを得ることに成功し外国出願を含めた特許出願を行った(特願2010-198213,外国出願PCT/JP2010/065165)。次に原料供給源の拡大を目指して、鶏卵卵黄ではなく脱脂卵黄粉末を原料として本手法を適用した。キューピー(株)より脱脂卵黄粉末を入手しSGP製造用原料として用い、本手法の適用を試みた。その結果、鶏卵卵黄で開発された本手法は脱脂卵黄粉末においても、簡便に適用することが可能であった。更にHPLC純度95%以上でSGPを得ることができた。精製SGPを用いて蛍光標識SGPの製造検討を開始した(特願2010-105504)。製薬企業である(株)伏見製薬所とSGP大量製造研究を開始した。 研究分担者は、上記工程により得られた精製SGPを用いてアミノ基保護ペプチドSGP(保護基としてFmoc-,Z-,Ac-等)の製造検討を開始した。精製SGPを用いてヒト型糖鎖部分を温存し、SGPのペプチド部分をリンカーとして用いるという基本的考えのもとにSGPのペプチド部分(特にリジン側鎖アミノ基およびN末アミノ基)を活用し、遊離アミノ基に置換基を導入する有機合成検討を実施した(特願2010-105507)。特にSGP誘導体においてもエタノール沈殿が精製工程として有効であることを確認した。
|