研究課題
本年度得られた研究成果は以下の通りである。1.これまで進めてきた「カリウムセンサーを用いた大腸菌外膜の透過性測定方法」を確立するために、アッセイ条件を詳細に検討した。本法の測定原理は、外膜透過性が増大すると、細胞質膜の透過性変化を引き起こす薬物(チロシジンAなど)が細胞質膜に到達できるようになり、細胞質からカリウムイオンを流出させることを利用している。カリウム流出量をカリウムセンサーで測定することにより、短時間で簡便に薬物の外膜透過性増大能を評価できる。既存の医薬品の外膜透過性亢進能を詳細に検討した結果、ジミナゼンやペンタミジンなどの抗原虫薬には外膜透過性を増大させる作用があり、その濃度依存性を明確に提示することができた。2.光照射したプロトポルフィリンが赤血球を溶血させることが古くから知られていることから、構造類似の一連のポルフィリン(プロトポルフィリン、メソポルフィリン、デューテロポルフィリン、ヘマトポルフィリン)の赤血球及び細菌に対する作用を比較検討した。赤血球は溶血、細菌(黄色ブドウ球菌)は細胞質からのカリウムイオンの流出を指標にして作用の強さを比較すると、両者ともにメソポルフィリン≒デューテロポルフィリン>プロトポルフィリン>ヘマトポルフィリンの順に増大した。一方、膜への侵入能力の指標の一つとなるオクタノール-水間の分配係数は、メソポルフィリン≒プロトポルフィリン>デューテロポルフィリン>ヘマトポルフィリンの順であり、分配係数がある程度の大きさであれば、膜透過性変化を引き起こすことが示されたものの、微妙に順番が異なっていた。これらのポルフィリンは水溶液中で凝集することが知られており、現在、さらに詳細な検討を進めている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
分析化学
巻: Vol.62、No.2 ページ: 121-130
DOI:10.2116/bunsekikagaku.62.121
Journal of Microbiological Methods
巻: Vol.91, No.3 ページ: 497-500
DOI:10.1016/j.mimet.2012.09.033