研究概要 |
植物抽出物や血清タンパクなどの天然物質の一重項酸素(^1O_2)消去速度定数を微量の試料で計測してその構造活性相関についての検討を可能とすることを目指して、近赤外発光寿命のスポット計測の技術開発に関する下記の検討を行った。 (1)反射計測ファイバー光学アタッチメントを市販のパーツから製作し、近赤外発光寿命測定装置(浜松ホトニクスC7990-O1)に追加することにより、光ファイバー先端のプローブ光束のスポット(開口φ0.2, 0.4, 0.6mm)において、0.1ns-50μsの時間領域の近赤外発光寿命を高感度で計測することを可能とした。 (2)マイクロウェルプレートやマイクロバイエル中の少量(100~500μL)のローズベンガル標準溶液において、今回開発したスポット計測法により高精度で^1O_2発光寿命計測が可能であり、従来法(試料量>2.5mL)と比較した検出感度の低下が実用範囲内であることを確認した。また、スポット計測法で標準抗酸化剤(ビタミンE誘導体,カロテノイド)の^1O_2消去速度定数を実際に計測し、従来法によるものと同じ値が得られることも確認した。この結果、計測に必要とされる試料/溶媒の量を劇的に減少させることができ、貴重な天然試料の使用や高価な溶媒中の計測が容易となった。 (3)スライドガラス上の微小液滴(~50μL)における^1O_2消去速度の計測(ドロップオン型検出)を試みたが、液滴作成のため適切な増粘剤の添加が必要であり、この点についてのさらなる最適化が必要であることがわかった。
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