研究課題/領域番号 |
22590044
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
山本 浩充 愛知学院大学, 薬学部, 准教授 (30275094)
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研究分担者 |
福田 光男 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (40156790)
小川 法子 愛知学院大学, 薬学部, 助教 (80409359)
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キーワード | バイオフィルム感染症 / ナノ粒子 / 表面修飾 / 抗菌剤 / ドラッグデリバリーシステム / 生分解性高分子ナノ粒子 / キトサン |
研究概要 |
バイオフィルム感染症治療を目的とし、粒子表面を修飾した生体適合性高分子であるポリ乳酸グリコール酸(PLGA)から成るPLGAナ粒子の設計を試みた。 S.aureusやS.epidermidisのバイオフィルムは、滑らかで薄い多糖類に覆われた細菌が凝集して形成されていることが確認できた。一方でS.mutansのバイオフィルムは凹凸の激しい構造で、細菌の形状はほとんど確認できず、厚い多糖類によって覆われていた。抗菌剤添加後のバイオフィルム形成率はS.aureus<S.epidermidis<S.mutansの順に高い傾向を示した。これは、形成率が高い菌種ほどバイオフィルムが厚く、バイオフィルム内部にまで抗菌剤を送達することができなかったためと考えられる。キトサンで修飾したナノ粒子はいずれの細菌叢に対しても強い抗菌活性を示した。 ヒドロキシアパタイトプレート上にS.epidermidisによりバイオフィルムを形成させ、口腔内での唾液流れ場を想定した流体下での滞留性を評価した。未修飾ナノ粒子、キトサンナノ粒子とも初期に多くの粒子が流出されたが、キトサンで修飾したナノ粒子では、未修飾ナノ粒子よりも流れに対する抵抗が強く、長時間にわたりより高い残留性を示すことが明らかと成った。 バイオフィルム形成予防を目的とし、ヒドロキシアパタイトプレート上を種々の物質で処理し、菌の付着抑制、ならびにバイオフィルムの産生抑制効果を評価した。その結果キトサンならびにポリエチレングリコール系界面活性剤でペレット上を処理することで菌の付着を抑制することができた。また、Tween80が形成されたバイオフィルムを除去する能力を有していることも明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね当初の計画通り、成果を得ることができた。しかしながら、複数の菌種で作成したバイオフィルムに対する抗菌活性を23年度に評価する予定であったが、複数菌種にバイオフィルムを形成させる手法の確立までしか達成できなかった。24年度早期に研究を実施し、成果を得る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
申請研究全体で予定している実験に関しては、概ね順調に進行している。当初予定していた研究に加え、より高機能な粒子の設計の足がかりをつかんでおり、本件も合わせて24年度の研究計画に組み込み、さらに研究を発展させていく。
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