研究概要 |
ハイドロタルサイトを利用してどのような薬物の吸湿性を抑制することができるかを、バルプロ酸ナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウムについて検討した。 まず、複合化を検討したところ、30mmol/L,25℃,1dの条件で、いずれの化合物もイオン交換容量の89-94%近くまで取り込まれることがわかった。また、その層間距離は、1.9-2.3nmまで広がり、複合化を確認できた。 ジクロフェナクナトリウムは、75%以上の相対湿度下では、数時間で吸湿し30%近くの重量増加が観測されたが、複合体では、高湿度下で1ヶ月を経過しても全く変化はなかった。また、リン酸ベタメタゾンナトリウムでは、97%の相対湿度下では、80%以上の重量増加が観測され、完全に潮解したが、複合体では変化がなかった。 また、NMR、IRなどで評価したところ、いずれも層間でアニオンとしてイオン交換によりとりこまえていることがわかった。つまり、イオン交換により層間に固定されれば、いずれの薬物に関してもその分子の大きさ、形状に関係なく大幅にその吸湿性を抑制できることがあきらかとなった。
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