昨年度は、プラバスタチンナトリウム、レボホリナートカルシウムについて、いずれもアニオンとして硝酸イオンとの交換により層間に固定できることがわかった。また、これらふたつの化合物については、塩化物型ハイドロタルサイトをもちいても同様に検討した結果、層間に固定化できることがわかった。また、いずれの複合体も化合物単独と比べて、吸湿性が改善できることが明らかとなった。本年は、ピリン系の解熱薬スルピリンに関して、インターカレーション反応および得られたインターカレーション化合物の特性を検討した。 硝酸型、塩化物型、炭酸型ハイドロタルサイトについて検討したが、硝酸型ハイドロタルサイトにのみ取り込まれた。反応条件として、温度、時間、濃度を検討したが、濃度を上げる事がもっとも効果的であることがわかった。また、温度を上げると反応性が低下するという奇妙な現象も確認された。その層間距離は、2.5 nm で、bilayer 構造でとりこまれていた。また、その取り込み量は、 3.4 mmol/g で、イオン交換容量の 80 %を超える値であった。得られた複合体のリン酸緩衝液への溶出試験を行なったところ1時間以内の短時間で要出されることが明らかとなった。
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