研究概要 |
センサりーロドプシン(Sensary Rhodopsin, SRと略)は、高度好塩菌に存在するレチナールタンパクである。SRには2種あり、それらはSRIおよびSRIIと呼ばれている。SRIは正の走光性(光に寄っていく)のレセプターであり、SRIIは負の走光性(500nm近くの光から逃げる)のレセプターである。本研究では、主に、SRII(ホボロドプシンとも呼ばれる)について、次のことを研究した。 1)500nm近辺の光を受けると、SRIIは励起され、種々の光中間体を経てもとのSRIIに帰る。これをホトサイクルと呼んでいる。ホトサイクルを精密に研究し、Nと呼ばれる中間体の存在を示した。2)レチナール近傍に存在するSer201を変異させると、ホトサイクルが大きな変化を受ける。3)SRIIは光照射下でヒドロキシルアミンを作用させると、レチナールが外れて可視部に吸収が無くなる。M中間体とヒドロキシルアミンが反応している事を明らかにした。4)M中間体は機能に重要な中間体と考えられている。定常光照射下での個体NMR測定の装置を開発し、M中間体のスペクトルを得た。 SRIIではないが、次のことを明らかにした。5)カサノリのロドプシン(Acetabularia rhodopsin)の結晶構造およびホトサイクルを明らかにした。6)H. salinarumのハロロドプシン(HR,光駆動クロライド輸送体)の異種細胞での発現を初めて成功させた。7)HRは界面活性剤中でも3量体を構成している。8)HRのCl結合の熱力学的パラメーターを測定した。9)Gloeobacter rhodopsinの3量体形成に、これらのファミリーに広く保存されているHis残基が重要であることを示した。
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