研究課題/領域番号 |
22590050
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研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
畑 晶之 松山大学, 薬学部, 准教授 (50241972)
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キーワード | シトクロムP450 / 薬物代謝 / ドッキングスタディ / 酵素-薬物複合体 / 密度汎関数法 / ONIOM法 / 酸化反応 / 活性化エネルギー |
研究概要 |
今年度はCYPによる代謝物予測法の基礎の基礎を構築し、さらに代謝物予測法の基礎へと発展させることを目標とし、当初計画に従い、量子化学計算による酸素原子添加反応の検討を行った。 前年度はモデル反応系(小モデル)につき、密度汎関数法を用いて代謝物の予測を行ったが、今年度は酵素全体のモデル(大モデル)につき、ONIOM法によるQM/MM計算により、代謝物の予測を試みた。これまでと同様、ドッキングスタディによって求められた各候補配置から生じる反応の活性化エネルギー値を比較し、基質のどの部分が酸化反応を受けやすいかを明らかにするという方法で行った。基質として、抗エイズ薬であるネビラピンと内因性ステロイドの一種であるアンドロステンジオンを使用したところ、両者とも、小モデルのときと同様の結果が得られた。つまり、アンドロステンジオンについては実験で得られる代謝物に基づく酸素原子添加部位は、そうでないものに比べ、その値が小さくなった。この結果は、大きなモデルにおいてもシトクロムP450による代謝物の予測が可能であることを示しており、以後に行う、他の薬物での代謝物予測につながる結果であるといえる。ネビラピンについてはさらなる検討が必要であるとして、他の基質と並行して行うこととした。他の基質として、まずはHMG-CoA還元酵素阻害剤を考慮し、アンドロステンジオンやネビラピンの場合と同じ手法で検討しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計算や、代謝物予測の当否の検討に時間を要し、化合物の数がこなせていないため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、CYPによる代謝物予測法の基礎を固めるための検討を、できるだけ多くの化合物について試す。そのため、計算機資源のさらなる増強も検討している。また、次年度は最終年度にあたるため、代謝物の予測法についてのまとめも行う。
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