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2011 年度 実績報告書

プリン受容体PETリガンドによる脳内ミクログリアの機能的生体イメージング

研究課題

研究課題/領域番号 22590053
研究機関独立行政法人放射線医学総合研究所

研究代表者

前田 純  独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 主任研究員 (30415426)

キーワード陽電子断層撮像法(PET) / アルツハイマー病 / プリン受容体 / アデノシン受容体
研究概要

本年度はP2Y12受容体PETリガンドの作製、ヒト死後脳切片を対象としたP2Y12受容体の免疫組織化学染色、アデノシンA2a受容体PETリガンドを用いたマウスの老人斑周囲のミクログリアイメージングについて検討を行った。
前年度[^<11>C]clopidogrelの結果を受けて、次にP2Y12受容体拮抗薬AZD-6140の中枢移行性について調査した。この結果AZD-6140は脳への移行性が極めて悪いことが判明した。アルツハイマー病(AD)患者および非ADの死後脳切片を対象とした免疫組織染色を行ったところ、非AD死後脳切片ではミクログリアにP2Y12の発現が見られたが、AD患者ではP2Y12の染色は著しく減少していた。この結果はADモデルマウスの所見と一致しており、ADではP2Y12の発現が低下することが明らかとなった。
AD死後脳およびアミロイド過剰形成マウス(APPマウス)の脳切片において、アデノシンA2a受容体リガンド[3H]ZM241385が老人斑で増加をすることを前年度明らかとした。そこでアデノシンA2a受容体PETリガンド[^<11>C]TMSXを用いAPPマウスの老人斑を描出できるか検討を行った。アミロイドPETリガンド[^<11>C]PIBのスキャンを施行したところ、APPマウスの海馬および大脳皮質に老人斑が形成していることを確認したが、[^<11>C]TMSXでは老人斑の発現する箇所への集積はほとんど見られなかった。また、[^<11>C]TMSXオートラジオグラフィーについても行ったが、[3H]ZM241385で見られるような老人斑への集積は見られなかった。[3H]ZM241385の老人斑への結合はTMSXで阻害されなかった為、ZM241385は老人斑周囲のミクログリアではなく老人斑そのものに結合していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

有用性を見込んでいたP2Y12リガンドの脳移行性が著しく悪かったこと、アデノシンA2a受容体の結果がリガンド間で相反する結果となり、計画修正の必要性が出たため。

今後の研究の推進方策

当初アデノシンA2aのイメージングを計画していたが、使用するリガンドによって異なる結果が生じた。最終年は神経炎症で同様に増加されるとされるアデノシンA3受容体にターゲットを変更し、免疫染色・リガンド開発に着手する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Mechanistic involvement of the calpain-calpastatin system in Alzheimer neuropathology2012

    • 著者名/発表者名
      Higuchi M, Iwata N, Matsuba Y, Takano J, Suemoto T, Maeda J, Ji B, Ono M, Staufenbiel M, Suhara T, Saido TC
    • 雑誌名

      FASEB J

      巻: 26(3) ページ: 1204-1217

    • DOI

      doi: 10.1096/fj.11-187740.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Characterization of 1-(2-[18F] fluoro-3-pyridyl)-4-(2-isopropyl-1-oxo-isoindoline-5-yl)-5-methyl-1H-1,2,3-triazole, a PET ligand for imaging the metabotropic glutamate receptor type 1 in rat and monkey brains2012

    • 著者名/発表者名
      Fujinaga M, Maeda J, Yui J, Hatori A, Yamasaki T, Kawamura K, Kumata K, Yoshida Y, Nagai Y, Higuchi M, Suhara T, Fukumura T, Zhang MR
    • 雑誌名

      J Neurochem

      巻: 121 ページ: 115-124

    • DOI

      10.1111/j.1471-4159.2011.07348.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] In vivo and in vitro imaging of I_2 imidazoline receptors in the monkey brain2011

    • 著者名/発表者名
      Kawamura K, Maeda J, Hatori A, Okauchi T, Nagai Y, Higuchi M, Suhara T, Fukumura T, Zhang MR
    • 雑誌名

      Synapse

      巻: 65(5) ページ: 452-455

    • DOI

      doi: 10.1002/syn.20897.

    • 査読あり
  • [学会発表] PET Imaging of glial activation and neuroinflammation in dementia and other neurological disorders by translocator protein (TSPO) ligands2012

    • 著者名/発表者名
      前田純
    • 学会等名
      14th Mind Brain Conference
    • 発表場所
      ホテルクラウンパレス(浜松市)
    • 年月日
      2012-02-15
  • [学会発表] 小動物PETによる認知症モデルマウスのイメージング2011

    • 著者名/発表者名
      前田純
    • 学会等名
      第6回分子イメージング学会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(神戸市)
    • 年月日
      2011-05-27
  • [図書] 専門医のための精神科臨床リュミエール26依存性・衝動制御障害の治療2011

    • 著者名/発表者名
      前田純, 須原哲也
    • 総ページ数
      9
    • 出版者
      中山書店
  • [備考]

    • URL

      http://www.nirs.go.jp/seika/brain/brain/index.html

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公開日: 2013-06-26  

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