アデノシンA3受容体の抗体をカスタム合成し、ヒトのアルツハイマー病患者死後脳切片、アルツハイマー病モデルマウスの脳切片およびアデノシンA3受容体が高密度に発現するマウス精巣切片を対象に免疫染色を行った。カスタム合成したA3受容体抗体はマウス精巣の精原細胞、精母細胞および間質細胞に強い染色性を示した。この分布は過去の報告と一致しており、作製した抗体はアデノシンA3受容体を認識していると推察された。この抗体を用い、アルツハイマー病モデルマウス脳切片について免疫染色を行ったところ、一部の神経細胞およびオリゴデンドロサイトに強い免疫染色性を示した。過去の報告では炎症反応性のミクログリアに発現するとされていたが、今回の結果からはミクログリアに特異的に発現するとは断定できなかった。 また、P2Y12受容体作動薬2MeSADPによる[35S]GTPgammaS結合をアルツハイマー病モデルマウスの切片で評価した。2MeSADP刺激による[35S]GTPgammaS結合はアミロイド斑形成マウスの皮質および海馬で野生型マウスと比べ増加しており、P2Y12受容体免疫染色像と一致した結果が得られた。一方、タウオパチーモデルマウスの海馬においても野生型マウスと比べ増加していた。タウオパチーモデルマウスの海馬ではP2Y12受容体のミクログリア免疫染色性が明らかに低下しており、結果に違いが認められた。2MeSADPはP2Y12以外にもP2Y1およびP2Y13に対しても作動性を示すことから、タウオパチー型モデルマウスの海馬ミクログリアではP2Y12受容体消失に伴い、他の受容体が発現すると推察された。
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