研究課題
がん細胞が骨に転移すると転移巣が発生し、予後を大きく左右する。悪性黒色腫(B16メラノーマ)をマウスに移入すると骨転移を発症し、皮下に固形腫瘍を形成する。プロスタグランジンE(PGE)合成酵素遺伝子欠損マウスでは転移と腫瘍形成がほとんど起こらないことを基盤とし、宿主細胞が産生するPGEが、がんの転移と腫瘍形成を制御するメカニズムを解明する。平成22年度、B16細胞をmPGES遺伝子欠損マウスあるいは野生型マウスに移入し、骨転移と固形腫瘍形成を比較した。In vivo解析では、マウスの尾静脈よりB16メラノーマ細胞を移入し、骨転移を起こさせ、軟X線撮影およびIn vivoイメージング法により骨転移の発生と進行を観察すると共に、大腿骨を採取し骨密度を測定した。その結果、野生型マウスでは顕著な骨転移と骨破壊による骨密度低下が認められたが、mPGES遺伝子欠損マウスでは転移巣が極めて軽微であり、骨密度は変化せず、まったく転移しないマウスも観察された。B16を皮下移入して固形腫瘍を形成させたところ、野生型マウスでは大型の固形腫瘍が形成され、腫瘍周囲では顕著な血管新生が認められた。一方、mPGES遺伝子欠損マウスでは血管の新生が抑制され、腫瘍体積は野生型より小さかった。mPGES遺伝子欠損マウスならびに野生型マウスより、皮膚線維芽細胞を採取して初代培養し、血管新生誘導因子(VEGF)の産生を解析した。その結果、野生型マウス由来の線維芽細胞は高レベルのVEGFを産生し、PGE添加によりさらに増加した。一方、mPGES遺伝子欠損マウス由来の線維芽細胞によるVEGF産生は軽微であった。従って、宿主細胞からのVEGF産生が腫瘍の血管新生において重要な役割を担うこと、その産生はPGEの調節を受けることが明らかになった。
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