研究概要 |
本研究課題では、従来までのD型イミノ糖だけでなくL型イミノ糖の有用性を見いだし、医薬品応用の可能性を模索することを目的としている。今年度は、合成例が乏しく、また阻害予測が非常に難しいアゼチジン型イミノ糖の生理活性に着目し、D型およびL型イミノ糖の酵素への阻害活性を中心に検討を行った。まず最初にD-およびL-リボースから1,3-dideoxy-1,3-imino-L-xylitolおよび1,3-dideoxy-1,3-imino-D-xylitolの両エナンチオマーを導いた。さらに構造活性相関を検討する目的でazet-DABおよびazet-LABの両エナンチオマーをD-およびレアラビノースから導いた。これら4種のアゼチジン型イミノ糖の各種グリコシダーゼに対する阻害活性を検討したところ、1,3-dideoxy-1,3-imino-L-xylitolは、A,nigerおよびRhizopus sp. 由来アミログルコシダーゼに対して、それぞれIC_<50>値が414μMおよび25μMの阻害を示す選択的な阻害剤であった。一方、1,3-dideoxy-1,3-imino-D-xylitolは、アミログルコシダーゼをはじめ全てのグリコシダーゼに対し全く阻害を示さなかった。azet-LABは、A,niger由来α-グルコシダーゼ、ラット小腸由来ラクターゼおよびRhizopus sp. 由来アミログルコシダーゼに対してそれぞれIC50値が39μM、70μMおよび19μMと比較的強い阻害を示した。azet-DABでは、阻害活性が低下する傾向が認められたが、逆にα-マンノシダーゼに対して唯一阻害を示した。本研究から、これまで生理活性の報告がほとんどなかったアゼチジン型イミノ糖においても、取り得る立体配置により種々のグリコシダーゼに対する阻害を制御できる可能性が示された。
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