本年度は、前年に特定した制御信号が、一般に他の細胞、他の細胞死誘導系でも細胞断片化を制御するのかどうかを調べた。また制御信号分子の分子形態の範囲を調べるため、特定した分子に似た周辺関連分子について細胞断片化に関与するかどうか調べ、制御信号の範囲を調べた。 一般性があるかどうかの実験において、他の細胞として、細胞断片化しないHela細胞等、また細胞断片化するCOS細胞等を用い、細胞死に際して制御信号の様子を見た。その結果、血管内皮細胞以外でも、細胞断片化しない細胞死および細胞断片化した細胞で、制御分子の動態が血管に皮細胞の場合と同じであった。他方、制御信号の分解を阻害する阻害剤によって、細胞断片化しない細胞に、細胞断片化を誘導することができた。これにより、血管内皮細胞以外の細胞においても一般的に、この制御信号が細胞断片化を制御していることが分かった。 周辺関連分子の関与を調べる実験は、各脂質抗体で染色し、同様に細胞断片化に関与するかどうか調べた。その結果、他の周辺脂質関連分子は細胞断片化に相関せず、当該脂質のみが細胞断片化と相関していた。これにより、細胞において主に作用している分子が特定された。
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