本研究課題3年目である平成24年度は、「線虫腸内顆粒の形成・成熟の異常を検出する効率的なスクリーニングの実施」を継続しつつ、「線虫腸内顆粒の形成・成熟に関与する遺伝子の変異体の解析 」を中心に行った。[連携研究者 岩手医大・薬学部 白石博久 丹治貴博 錦織健児] 研究遂行上の問題点は、個々の遺伝子解析と平行してスクリーニングを行うには不足している実験に要するマンパワーであることが明らかとなった為、技術補佐員の実験補助時間を増やす計画を実行した。 スクリーニングは現在も継続中であるが、既に幾つかの興味深い遺伝子が見いだされた。候補遺伝子は多岐にわたっているが、そのひとつにペントースリン酸経路の酵素tkt(トランスケトラーゼ)があったため、ペントースリン酸経路の酵素群の遺伝子に対して、RNAiスクリーニングを行った。また、米国CGCストックセンターに登録されているペントースリン酸経路関連遺伝子の変異体を入手し、顆粒の形成異常の表現型を調べた。その結果、いくつかの遺伝子において、tktと同様の表現型が得られた。 本基盤研究において、注目する腸内顆粒の加齢に伴う(時間的)量的な制御機構の存在や、連動した他のオルガネラ異常などが見いだされており、予想を上回る成果が得られた。これらの発見は、平成25年度採択された基盤研究(C)「線虫腸細胞をモデルにしたオルガネラ連携とその制御に関わる遺伝的基盤の解明」へと繋がっている。
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