吸入ステロイド薬の普及により気管支喘息の治療は飛躍的進歩を遂げたが、気道上皮細胞の障害はステロイド薬により改善ぜす、難治化の要因となる。気道上皮細胞をターゲットに細胞の老化および肺構造の老化が高齢者の気道リモデリングの不可逆性を誘導し、難治化に関与する視点から制御法を開発することを目的としている。初年度の成果として1)気道上皮細胞のダニアレルゲン刺激によるサイトカイン産生および刺激伝達系のプロファイリングHuman bronchial epithelial cell line(HBEC)をI型コラーゲンコートしたインサート付き培養プレートで培養する。Confluentになった時点で、上層の培養液を除き空気層培養に移行する。空気層培養後2週間で線毛上皮細胞に分化する。もう一群はIL-13投与し粘液分泌細胞に分化させる。この2種類の細胞について、Lps、polyIC、ダニアレルゲン刺激を行い、サイトカインおよび細胞刺激伝達系に関するアレイを用いて解析を進めている。2)SLURP-1の喘息病態への関与について-マウス喘息モデルおよび培養気道上皮細胞を用いて、SLURP-1が喘息病態では産生が低下する事を明らかにし、原著として報告した。さらにヒトリコンビナントSIURP-1を用いて、マクロファージおよび気道上皮細胞への作用の検討を開始した。3)気道上皮細胞の分化を制御する薬剤としてのクルクミン誘導体の検討-気道上皮細胞は上皮間葉系移行(EMT)を介して、気道リモデリングに関与する事が示唆されている。この経路に介入する方法として、新規クルクミン誘導体の効果を検討し、有効性を示す知見を得た。炎症性サイトカインの抑制効果、TGF-βの刺激伝達を効率よく抑制した。さらに、ステロイドでは抑制できなかった、気道リモデリングの指標としてのSerpine1の抑制効果を明らかにした。
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