研究課題/領域番号 |
22590075
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
山下 直美 武蔵野大学, 薬学研究所, 教授 (20239974)
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キーワード | アレルギー・せんそく / 細胞・組織 / 薬学 / 老化 |
研究概要 |
難治性喘息治療ターゲットとして、気道の構成細胞であり、加齢とともに構造の変化が予測される気道上皮細胞は重要であると考えられる。リコンビナントSLURP-1は、試験管内の検討で、気道上皮細胞のサイトカイン産生を濃度依存的に抑制した。SLURPsiRNAを作用させると炎症性サイトカイン産生が増強し、α7nACRのsiRNAを作用させるとSLURP-1の作用が解除された事から、炎症性サイトカイン抑制作用はα7nACRを介している事が明らかになった。実際にSLURP-1が抗炎症作用をヒト気道上皮細胞にオートクラインのメカニズムで発揮する事および外部から作用させる事により抗炎症作用を増強できることを明らかに出来た。細胞内刺激伝達についてアレイを用いて検討を進めている。マウスリコンビナントSLURP-1を慶応大学三澤らが作成し、共同研究でマウスの喘息モデルでin vivoの効果について検討を開始した。 ヒト気道上皮細胞を線毛細胞と粘液分泌細胞に分化させ、ダニアレルゲンの刺激伝達について解析した。線毛上皮細胞への分化した細胞の被刺激性が安定しないため、再度、安定した分化について検討し、培養方法に工夫をした。 平成22年度に見出した、気道上皮細胞の機能を制御する薬剤として新規クルクミン誘導体の効果を英文原著としてまとめ報告した。また、ダニアレルゲンをマウスに作用させ、喘息モデルを作成する系についても原著論文として受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
気道上皮細胞をターゲットとして、修復起点の解析について期待がもてる結果が出て、当初の計画以上に進んでいる。この点をさらに明らかにし、知見を集積している。申請時に計画した老化マウスをもちいての検討は、進んでいる結果を活かすために、平成23年度当初の計画時点から変更した。まず、通常の喘息モデルマウスでの検討を先に進めてから、取り組む事に計画を修正したため、一時保留とした。全体として順調に進んでいると自己評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
α7ニコチン受容体を介する気道上皮細胞の機能の制御について、有望な結果が出ているので、この点について最終年度にまとめる方向で検討をすすめる。
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