研究課題/領域番号 |
22590085
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
平藤 雅彦 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (20142987)
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研究分担者 |
町田 拓自 北海道医療大学, 薬学部, 講師 (90433424)
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キーワード | セロトニン / 一酸化窒素 / トリプトファン水酸化酵素 / 異味症 / 制がん剤誘起性嘔吐 / メトトレキサート |
研究概要 |
本研究の目的は、抗がん剤による消化管障害モデルラットを用いて、制がん剤投与による腸管セロトニン代謝異常と遅延性嘔吐誘発機序における一酸化窒素(NO)の役割を解明することである。今年度ではまず、ラットへメトトレキサート(MTX;50mg/kg,ip)を投与し、小腸粘膜障害を組織学的に検討した。MTX投与96時間後の回腸粘膜では対照群と比較して絨毛上皮細胞の乱れ及び萎縮などの組織障害が観察された。そこで摘出回腸組織のNO産生に及ぼす影響を検討したところ、MTX投与は腸管組織内のNOの酸化代謝物NOxを増加させ、誘導型NOSであるiNOS mRNA及びiNOSタンパク質発現を増加させることが明らかになった。しかし、構成型酵素であるeNOS及びnNOSについてはmRNA及びタンパク質発現についても有意な影響が認められなかった。そこで、同じ誘導型酵素であるCOX-2、さらに構成型酵素のCOX-1のmRNA及びタンパク質発現に対する影響を検討したが、それらには有意な影響が認められなかった。次に、ラット回腸のパラフィン切片を用いて、免疫組織化学的な検討によりiNOSの回腸組織での局在とMTX投与による発現の影響を検討しようと試みたが、抗iNOS抗体の特異性の問題か満足のいく結果が得られず、これについてはさらに再検討課題として次年度に検討することとした。また、同様にセロトニントランスポーター(SERT)についても同様の免疫組織化学的な検討を試みたが、これについても再検討課題として残された。次に、MTXとは作用機序や嘔吐誘発頻度の異なるシスプラチンのNO代謝に及ぼす影響を検討した。シスプラチンは、MTXよりも高度の組織障害を引き起こしたが、iNOS mRNAやタンパク質発現に対する影響は認められなかった。以上の結果より、MTXは特異的に小腸粘膜のiNOSタンパク質を誘導することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度に引き続き今年度もセロトニン生合成の律速酵素であるTPHのウエスタンブロット法による解析を試みたが、信頼性のある結果が得られていなし。これは免疫組織化学的な検討でも同様であるが、用いている抗体の特異性の問題が大きいと思われる。数種の抗体を試みているが、価格の問題もありあまり多くの抗体を購入、検討できない。
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今後の研究の推進方策 |
回腸組織でのiNOSなどの免疫組織化学的な検討に関しては、外部業者への発注を検討したい。回腸組織TPH発現に関しては逆に免疫組織化学的な検討により、抗TPH抗体陽性細胞数の変化として検討可能であり、今後さらに継続していく。
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