研究課題/領域番号 |
22590086
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
武田 弘志 国際医療福祉大学, 薬学部, 教授 (70206986)
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研究分担者 |
辻 稔 国際医療福祉大学, 薬学部, 准教授 (70297307)
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キーワード | ストレス / ストレス抵抗性 / セロトニン(5-HT) / 5-HT_<1A>受容体 / ヒストンアセチル化 / トリコスタチンA / エピジェネティクス / マウス |
研究概要 |
平成22年度では、5-HT_<1A>受容体作動薬であるフレジノキサンの処置により形成されるストレス抵抗性と、海馬におけるアセチル化ヒストン3(AcH3)タンパク量の経時間的関連性を検討した。また、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬であるトリコスタチンAを処置することにより形成されるストレス抵抗性と、海馬AcH3タンパク量の経時間的関連性についても同様に検討した。 拘束ストレス刺激を単回負荷されたマウスでは、自動ホールボード試験における穴のぞき行動の低下など、情動性の低下が認められたが、フレジノキサンを拘束ストレス負荷の24時間前に処置したマウスでは情動性の低下は認められず、ストレス刺激に対する抵抗性が形成された。一方、フレジノキサンを0.5時間前および48時間前に投与したマウスでは、ストレス抵抗性は形成されなかった。また、フレジノキサン処置0.5、24および48時間後の海馬AcH3タンパク量を測定したところ、ストレス抵抗性が形成される24時間後においてのみ、AcH3タンパク量の増加が認められた。なお、このような変化は、ベンゾジアゼピン系抗不安薬であるジアゼパムの処置では認められなかった。 次に、ヒストンアセチル化とストレス抵抗性の機能的連関を立証する目的で、トリコスタチンAを脳室内に投与し、同様の検討を行った。その結果、トリコスタチンA処置4時間後をピークとしたストレス抵抗性の形成および海馬AcH3タンパク量の増加が認められた。 以上の結果より、ストレス抵抗性の形成機構において海馬ヒストン3のアセチル化が一部関与している可能性が示唆された。
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