研究概要 |
Arctigeninの代わりにより水溶性が高く実験が容易なarctiin(arctigenin monoglucoside)の嫌気性菌による代謝を検討し,arctigeninとともに脱メチル体4種の計5化合物を代謝物として得た。また,arctigeninのフェノール性水酸基をメチル化し,monomethylarctigeninを得た。さらに,arctigeninの水酸基の隣のメトキシ基の選択的脱メチル,パラ位の水酸基のベンジル保護,水酸基のアルキル化,脱ベンジル保護を経て,arctigeninの水酸基の隣のメトキシ基のメチルをエチル,n-プロピル,i-プロピル,ブチル,ヘキシル,ヒドロキシエチルに代えた6化合物を合成した。さらに,β位に3,4-二置換ベンジル基を有する光学活性γ-ブチロラクトンを共通鍵中間体とし,種々の置換基を有するベンジルハライドを導入する事で,種々の置換基を有するアルクチゲニン誘導体の合成経路を確立した。この手法を用いて6化合物を合成し,嫌気性菌代謝物の5化合物,arctigeninから誘導した6化合物とともにin vitroの栄養飢餓耐性解除活性を測定した。栄養飢餓耐性解除活性は,富栄養培地(DMEM培地)では細胞毒性を示さず,栄養欠乏培地(NDM培地)でのみ示される細胞毒性で評価した。その結果,アルクチゲニンのメトキシ基3個を全てエトキシ基に代えた化合物が最も強い栄養飢餓耐性解除活性を示すことが明らかとなった。
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