研究概要 |
昨年度の検討において,アルクチゲニンのメトキシ基3個を全てエトキシ基に代えた化合物が最も強い栄養飢餓耐性解除活性を示すことが明らかとなっている。そこで,これらの一部をプロピルオキシ基に変えた化合物など数種のアルクチゲニン類縁体を合成して,栄養飢餓耐性解除活性を検討したが,残念ながら,活性の向上は見られなかった。一方,アルクチゲニン類縁体を含むテイカカズラ(Trachelospermum asiaticum)及びリョウカオウ(Wikstroemia indica)の成分検索を行い,Trachelospermum asiaticumから(-)-アルクチゲニン及び既知類縁体2種を,Wikstroemia indicaから(+)-アルクチゲニンを含む(+)-アルクチゲニン類縁体など15化合物を単離した。これらの化合物の栄養飢餓耐性解除活性は,富栄養培地(DMEM培地)では細胞毒性を示さず,栄養欠乏培地(NDM培地)でのみ示される細胞毒性で評価した。その結果,Trachelo spermumから単離した(-)-体は選択的細胞毒性を示すのに対し,Wikstroemia indicaから単離した(+)-体は殆ど細胞毒性を示さなかった。これらのことより,アルクチゲニンの示すPANC-1細胞に対する強力な選択的細胞毒性において,ラクトン部の3位及び4位の絶対配置が重要であることが明らかとなった。
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