研究概要 |
肥満は生活習慣病の主要な危険因子であります。私達は現在までの研究の結果、肥満の新しい機構として「小胞体ストレス(すなわち不良品タンパク質が細胞内に蓄積することによって生じるストレス)の関与」を見出しました(Mol Pharmacol 2008,74:1610-1619.)。従って、小胞体ストレスを標的とした薬物は肥満の治療薬として有効である可能性が考えられました。そこで本研究では、小胞体ストレスを標的とした薬物を明らかにし、肥満の治療薬として今までにない新しいタイプの薬物を見出すことを目的としました。その結果、小胞体ストレスを標的とした新しい薬物を同定することに成功しました。 本薬物の小胞体ストレスに対する細胞死への影響を検討したところ、小胞体ストレスによる細胞死を抑制することが明らかになりました。さらには、本薬物は、ケミカルシャペロン活性を有することが明らかとなり、蛋白質凝集抑制効果を有している可能性が考えられました。また、レプチンシグナルをin vitro培養細胞系で効果的に検出するシステムにより、本薬物が小胞体ストレスによるレプチン抵抗性に対して有効である可能性について検討したところ、効果的な改善効果を示すことがわかりました。さらに、本薬物をプロトファルマコフォアとした化合物の大量合成にも成功しました。今後は、これらの化合物の更なる薬理解析を進めて行きたいと考えています。
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