研究概要 |
糖の酸素部を窒素で置換されたイミノ糖は糖のミミック体として低分子医薬品の候補として近年極めて注目されている化合物群である。今回、これまでに余り研究がなされていないイミノフラノース型及びイソファゴミン型を中心にN以外の位置にアルキル鎖(特にアノメッリック位)などを導入した多様性置換基を有するイミノ糖C-グリコシドミミック(安定糖)を設計して、申請者が独自に開発した不斉触媒法を基盤としてイミノ糖のライブラリー構築することで、各種糖鎖関連酵素の阻害に関する構造活性相関を中心に創薬科学研究を行うことを目的とする。 先ず、触媒的不斉アリル位アミノ化反応で不斉源導入して、ピロリジン骨格(イミノフラノース源)は閉環メタセシス(RCM)で構築した。アノマー位側鎖の導入は主としてsp^3-sp^3カップリングを用いることで数種の直鎖型5-アルキルアラビノイミノフラノース(5AIFD)の両エナンチオマーの合成に成功した。各種グリコシダーゼおよびグリコシルセラミド合成酵素阻害活性を検討した所、興味のあることにこれまでとは逆にD型よりL型に極めて強いα-グリコシダーゼ阻害活性が観測された。そこで5位にC1-C9の直鎖アルキル基を導入してそれらのα-グリコシダーゼ阻害活性を検討したところ、C4,5体は上市されているα-グリコシダーゼ阻害剤であるアカルボース、ミグリトール、ボグリボースと同等の阻害活性があることが判明した。 グリコシルセラミド合成酵素阻害活性に関しては、D型に弱い阻害活性が見られた。イソファゴミン誘導体に関しては、我々が見出したアリルヒドロキシ基加速効果を利用するエンイン閉環反応で基本骨格の合成に至っている。
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