研究課題
前年度までに見いだした、酸化還元応答型N-フェニル-N-キノニル芳香族アミド化合物の基本骨格の特性を基に、一連の化合物についてこれらの溶液中での立体構造変化および結晶構造中における立体構造について検討したところ、統一的な結果を得た。これまでにこの酸化還元応答型アミド化合物で見られたとおり、アミド窒素上に配置した芳香環の電子密度に基づき、立体構造の特性を示していることが明らかとなった。また酸化反応および還元反応によって可逆的に分子が変換され、そしてそれに応答して立体構造変換も可逆的に生じていることが明らかとなった。低温におけるNMR測定を詳細に行うことにより、結晶構造と溶液中の優先立体配座の関係を明確に関係づけることができた。またその解析によって、速度論的な考察を行うことができ、立体配座変換に関するエネルギー的な考察を行うことができた。一方で含ピリジン型アミドについても引き続き展開が見られた。これまでN,N-ジアリール型芳香族アミド化合物は、キノン-ヒドロキノン作動型およびアミノ基プロトン化によって検討されてきたが、新たにN-ピリジル型の立体構造特性に興味深い傾向があることが見いだされた。通常ピリジン環はπ電子不足型の芳香環として認識されているが、ベンゼン環および置換ベンゼン環との相対的な電子密度差によって、これまで見いだされてきた化合物群と類似の優先立体配座傾向を示すことが確認された。しかし一方で、ピリジン環の結合位置によってその傾向は大きく異なることが新たに見いだされ、他の観点から考察・新デザインが可能であることが示された。これらのアミド化合物の中には、これまで含ピリジル型芳香族アミドで見られたのと同様の、酸応答型スイッチに適用可能な優先配座を持つ化合物もあり、今後の発展が多いに期待される。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Tetrahedron
巻: 68 ページ: 5346-5355
10.1016/j.tet.2012.04.114