研究概要 |
1.TV-XIIa-アンチセンスオリゴヌクレオチド(A-ODN)複合体の合成及びアンチセンス効果の検討 前年度の結果を受け,細胞実験のために必要十分量を確保するために,引き続き,共有結合型TV-XIIa-アンチセンスオリゴヌクレオチド(A-ODN)複合体の合成を行った.ペプチド-オリゴヌクレオチド複合体合成は,2価性架橋試薬,N-6-maleimldocaproyloxysucclniimide(EMCS)や2,2'-dithiopyridineを介して行い,細胞実験に必要な十分量を確保することができた.合成したTVXIIa-A-ODN複合体のアンチセンス効果をp53遺伝子(がん抑制遺伝子)をターゲットとし,ウエスタンブロット法で検討を行った.その結果,複合体濃度5μMにおいて有意にp53タンパク質の発現を減少させることが分かった. 2.RGDモチーフ付与による細胞選択性及び細胞内取り込み能に関する影響 前年度に合成した膜透過性Aib含有両親媒性ヘリックスペプチドの細胞選択性及び細胞内取り込み能を向上させることを目的に,本ペプチドのC-末端にRGDモチーフを結合させた.RGDモチーフを有するペプチドと持たないペプチドの20merオリゴヌクレオチドの細胞内取り込み能を比較したところ,RGDモチーフを持たないペプチドがよりオリゴヌクレオチドの細胞内輸送能が良いことが分かった.この結果は,ペプチド-オリゴヌクレオチド複合体生成時にRGDモチーフがその複合体の表面に露呈できていないのではないか考えられる. 3.TV-XIIaの構造改変と細胞内取り込み能の検討 TV-XIIaの構造中のアミノ酸残基をコンフォメーションに考慮しながら他のアミノ酸に置換し,TV-XIIaの類縁体の合成をおこなった.ペプチドの合成はFmoc-固相合成法で行い,細胞膜や細胞内挙動を観察するために蛍光ラベル化体を合成した.細胞内取り込みについては引き続き次年度に行う予定である.
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