平成24年度は、前年度得られたセレブロシド画分をスケールアップしてメタノリシスし、α-オキシ脂肪酸メチルエステル(FAM)混合物、長鎖塩基(LCB)混合物が得られた。得られたFAM混合物は逆相HPLCにより分離精製し、その主成分(C22、C24)について、LCB(C18-phytosphingosine)と縮合して2種のセラミドを得た。 合成して得られた2種のセラミド(APCer-1、APCer-2)とオニヒトデより得られた3種のセレブロシド分子種(APC-1、APC-2、APC-3)について、マウス間葉系幹細胞株C3H10T1/2を用いた骨芽細胞への分化に対する影響、およびマウス骨芽細胞株MC3T3-E1の増殖に対する影響を検討した。 骨芽細胞への分化についてはアルカリフォスファターゼ(ALP)活性測定により評価した。ポジティブコントロールであるレチノイン酸の単独添加ではALP活性が上昇したが、サンプルには分化誘導能はないことが示唆された。しかし、サンプルを加えて培養した細胞の形態が変化したことから、細胞に何らかの影響を及ぼしていることは考えられる。 骨芽細胞の増殖については、細胞によって生物的に還元され生成するホルマザン色素の吸光度測定により評価したところ、APC-1およびAPC-2において細胞増殖促進効果が認められた。また、細胞をまくと同時にサンプルを添加した実験では、APCer-1およびAPCer-2において細胞増殖促進効果が認められた。 α位に水酸基を有しない脂肪酸(C22、C24)を用いたセラミドも合成しており、今後は水酸基の有無による活性の違い、また破骨細胞株であるRAW 264細胞における細胞増殖抑制効果を検討したい。
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