研究課題/領域番号 |
22590113
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
国島 直樹 独立行政法人理化学研究所, タンパク質結晶構造解析研究グループ, グループ副ディレクター (70415149)
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キーワード | 生活習慣病 / 脂肪酸生合成 / 結晶構造解析 / X線回折 / 酵素 / タンパク質 / 立体構造 / 薬物設計 |
研究概要 |
生活習慣病は、脂肪酸生合成の律速段階を触媒する酵素複合体「アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)」の「ビオチンプロテインリガーゼ(BPL)」による酵素的活性化を制御することにより、原理的には解決可能である。具体的には、ACCの活性中心を構成する「ビオチンカルボキシルキャリアプロテイン(BCCP)」のBPLによるビオチン化を薬剤によって制御する。この原理により生活習慣病の予防または治療に関する薬剤を開発するためには、これらのタンパク質の結晶構造を決定し、構造に基づく薬物設計によるリード化合物探索を行うのが良い。哺乳類はACC1およびACC2という2種類の類似したACCを持っており、生活習慣病の予防または治療のためにはACC2を選択的に抑制する必要がある。そこで、ACC1とACC2のそれぞれに対応する二種類のBCCP(BCCP1およびBCCP2)とヒトBPL(hBPL)の遺伝子からタンパク質試料を調製し、構造解析を行う計画である。平成22年度はBCCP1・BCCP2・hBPLの発現に成功したが、BCCP1とhBPLは不溶性であった。平成23年度(本年度)は、それぞれのタンパク質について引き続き試料調製の検討を行った。 まず、BL21系の宿主大腸菌を用いた大量発現により可溶性画分として得られるHisタグ未付加のBCCP2について、各種クロマトグラフィーによる精製を試みた。イオン交換クロマトグラフィーとハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーでは素通り画分に溶出された。さらに疎水性相互作用クロマトグラフィーとゲルろ過クロマトグラフィーを試みたが、結晶化に用いうる程度まで精製純度を上げることは出来なかった。現在、アビジン-ビオチン結合を利用した精製を試みている。また、Hisタグを付加したBCCP1・BCCP2・hBPLについて、可溶化条件及び精製条件の検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
BCCP1とhBPLに関しては遺伝子発現の際に不溶化する傾向があり、BCCP2に関しては効果的なクロマトグラフィー条件が見つかっていない。従って現在のところ結晶化に適する試料が調製できていない。
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今後の研究の推進方策 |
Hisタグを付加したBCCP1・BCCP2・hBPLに関して、封入体として発現して可溶化・精製する方向で検討を行っている。また、可溶性タンパク質が得られているHisタグ付加なしのBCCP2に関しては、現在、アビジン-ビオチン結合を利用した精製を検討している。
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