重要な漢方薬「マオウ」の主たる原植物は、現在ではEphedrasinicaである。一方、ユーラシア大陸にはE.sinicaとの近縁とされるE.dahuricaとE.distachyaが存在するが、その詳しい系統は解析されておらず、薬用としての有用性も明らかではない。今回2006年シベリア地域、および2008年アルプス地域でそれぞれ採取したE.dahurica、およびE.distachya試料、さらに金沢大御影教授のグループが中国及びモンゴルで採集したE.sinica試料、Kassel大学Freitag教授のグループからのE.distachya試料についてDNA解析を行い、ロシア・中国~ヨーロッパにわたるE.sinica関連マオウ属植物の分布と系統関係を解明した。
|