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2011 年度 実績報告書

正および負の環境要因が情動系およびその発達に与える影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22590118
研究機関熊本大学

研究代表者

白崎 哲哉  熊本大学, 生命科学研究部, 准教授 (30264047)

研究分担者 高濱 和夫  熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (80150548)
副田 二三夫  熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (10336216)
キーワード母仔隔離 / 白色雑音刺激 / モノアミン / GIRKチャネル / 腹側被蓋 / 海馬CA1 / パッチクランプ / 行動科学試験
研究概要

1、母仔隔離の中枢神経機能に与える影響を単一ニューロンレベルで調べ、腹側被蓋のドパミン(DA)ニューロンにおいて、DAおよびグルタミン酸(Glu)誘発電流が有意に減弱し、DAに応答するニューロンの割合も減少していた。一方、バクロフェン(Bac)およびGABA誘発電流には影響が見られなかった。DAニューロンの興奮性の変化は、情動系への影響を示唆する。また、セロトニン(5-HT)誘発電流の増強が見られていた海馬CA1において、5-HT1A受容体およびGIRK2チャネルサブユニットの蛋白発現量を調べたところ、コントロール群との間に有意差は見られなかった。このことは、GIRKチャネルのリン酸化状態や、RGS蛋白による調節系が影響されている可能性を示唆する。さらに、生後20ヶ月齢で高架式十字迷路試験をおこなったところ、母仔隔離群でオープンアームから落下する個体が多く見られた。このことは、意識レベル、注意力あるいは不安レベルの低下を示しているかもしれない。
2、幼若期の白色雑音刺激が与える影響も検討した。単一ニューロンレベルにおいて、青斑核のノルアドレナリン(NAd)、Glu、GABA誘発電流に影響は見られず、海馬CA1錐体細胞のNAd、Glu誘発電流も影響さられなかった。しかし、海馬CA1錐体細胞のGABA誘発電流は有意に減弱した。また、5-HT誘発電流はばらつき範囲を超えて増強する例が見られたが、5-HTに応答するニューロンの割合は減少した。Bac誘発電流値は変化しなかったが、Bacに応答するニューロンの割合は大幅に増加した。行動科学試験では、生後1ヶ月齢において、高架式十字迷路試験に影響しなかったが、ホールボード試験の穴覗き行動が増加し、観察フィールドの中心エリアを横切る回数、中心エリアでの滞在時間も増加した。このことは、不安全般ではなく、特定の不安が減弱することを示唆する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

23年度は、教育GPの独自継続事業で予想以上に時間を取られ、実験できる時間が少なくなった。

今後の研究の推進方策

正の環境刺激として、植物の芳香が与える影響を調べるため、防音観察室の改良を行って来た。準備はほぼ整ってきたので、できるだけ早くテストを行い、飼育室内の動物に影響がないことを確認して実験を開始する予定である。ストレス元としての天敵臭の影響については、芳香より脱臭装置の機能評価が難しく、かつ予定していたTMTがイタリアの製造業者から入手できなくなっており、一端中止する方向で検討している。その分、過去2年間の成果を生かして、幼若期の生育環境が脳機能に与える影響を明確にすることに集中したい。

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公開日: 2013-06-26  

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