研究課題
本年度の成果として、病原性のことなる抗酸菌種(Mycobacterium tuberculosis, Mycobacterium bovis及びBCGワクチン株、Mycobacterium avium、Mycobacterium smegmatis)の臨床検査で用いられている生化学試験の手法を用いて形質を比較した(FEMS Microbio. Lett.2010)。酸化ストレスや酸化窒素ストレスに対応する菌の酵素の活性と過酸化水素や一酸化窒素に対する処理能との相関が得られた。菌に対して殺菌的に働く活性酸素種や活性窒素種は量によっては宿主細胞にも影響を及ぼす。宿主細胞からのこれらの分子種の産生誘導にはIL-1やTNF-αが重要な働きをしていることが知られていることから、活性酸素種、活性窒素種の細胞傷害活性への関与を検討している。ヒト老齢者に対応する老齢マウスにBCGワクチンが有効であることを見出した(Immuni. Ageing,2010)。BCG未接種の老齢者にもBCGが有効であることを示唆するものである。現在、幼児期に相当する若齢期にBCG接種したマウスをもちいて加齢に伴って免疫が低下するのか、否か、検討している。抗原虫活性や抗真菌活性が持つことが知れれているpyrrolidine dithiocarbamate(PDTC)は毒性が強いことも知られている。GlucosamineのC1位にPDTCを結合させた化合物を作製したところ毒性が軽減され、更に結核菌に特異的に効果を示すことがあきらかとした(Bioorg. Med. Chem. Lett.,2011)。本化合物は多剤耐性結核にも有効であり、今後体内動態や毒性を検討する予定である。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (17件)
Bioorganic Medical Chemistry Letter
巻: 21(3) ページ: 899-903
FEMS Microbiology Letter
巻: 306(2) ページ: 103-109
International Immunopharmacology
巻: 10(10) ページ: 1194-1199
Immunity and Ageing
巻: 7 ページ: 12
Biochemistry and Biophysics Research Communications
巻: 404(4) ページ: 1088-1092