研究概要 |
本研究は様々な用途に用いられているナノサイズの酸化亜鉛の自己免疫疾患に与える影響について検討することを目的とするが、まずナノ酸化亜鉛の自己免疫系に与える影響について検討した。実験動物としてはDBA/1Jマウスを用い、自己抗原としてはII型コラーゲン(CII)を使用した。動物を完全フロインドアジュバント(CFA)とともにCIIで免疫し、3週間後にマウス血清を遠心分離により得るとともに、血清中の抗CII抗体IgG2a(Th1依存性抗体)およびIgG1をELISA法によって測定した。また、脾臓細胞由来のT細胞を調整し、CIIと培養後、IFN-γ、IL-2(Th1サイトカイン)およびIL-4、IL-5(Th2サイトカイン)をサンドイッチELISA法によって測定した。ナノ酸化亜鉛の投与は、粒子径が異なるもの(15,60,600nm)を1,10,100mg/kgの用量にて1,2,あるいは3週間1日1回経口暴露した。その結果、粒子径が小さいほど、また投与量が多く投与期間の長いほどTh2依存性抗体およびTh2サイトカイン産生が増大する傾向がみられた。Th1依存性およびTh1サイトカイン産生に対しては影響がみられなかった。これらの結果はナノ酸化亜鉛の選択的なTh2促進作用傾向を示すものであるが、今後、本ナノ粒子の自己免疫系、さらに自己免疫疾患に対する影響についてさらに詳細に検討する必要がある。
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