研究概要 |
ナノ粒子として、酸化チタンの自己免疫疾患に対する影響について検討した。自己免疫疾患モデルとしてコラーゲン関節炎炎 (CIA)を用い、CIA誘導のためDBA/1Jマウスを完全フロインドアジュバント(CFA)とともにII型コラーゲン (CII)で免疫し、3週間後に再度追加免疫した。酸化チタンの投与は、粒子径が20nmのものを 1, 10, 100 mg/kgの用量にて 3週間1日1回経口暴露した。一定期間後にマウス血清を遠心分離により得るとともに、血清中の抗CII抗体IgG2a(Th1依存性抗体)およびIgG1をELISA法によって測定した。また、脾臓細胞由来のT細胞を調整し、CIIと培養後、IFN-、IL-2(Th1サイトカイン)IL-4、IL-5(Th2サイトカイン)、IL-17(Th17サイトカイン)をサンドイッチELISA法によって測定した。その結果、投与量が多く投与期間の長いほどTh2依存性抗体およびTh2、Th17サイトカイン産生が増大する傾向がみられた。Th1依存性およびTh1サイトカイン産生に対しては影響がみられなかった。これらの結果はナノ酸化チタンのTh1依存性の自己免疫疾患に対する影響は少なく、むしろTh2依存性のアレルギー疾患に影響を与える可能性を示唆するものであるが、Th17免疫反応に対しても促進効果を示したことからさらなる詳細な検討があると思われる。
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