• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

qNMR多変量解析を用いた水環境中の有害化合物のモニタリング技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22590127
研究機関国立医薬品食品衛生研究所

研究代表者

杉本 直樹  国立医薬品食品衛生研究所, 生活衛生化学部, 室長 (50300918)

キーワードNMR / 多変量解析 / 絶対定量 / 環境分析
研究概要

NMRによる環境試料等の混合物中の化合物の同定・定量については観察されるシグナルの重複の取扱に関して大きな課題がある.すなわち,質量分析計(MS)では,測定対象の分子イオンを指標にした同定・定量が可能であるのに対し,NMRでは,分子上の原子核の構造情報が複雑なスペクトルとして観察されるため,測定対象の化合物の化学シフトやスピン結合等の情報がない場合や数種の化合物が混合している場合には,NMR単独での同定・定量は非常に困難である点である.このことから,NMRによる汚染物質のモニタリング技術の構築には,化合物ライブラリーの拡充が必須であると考えた.qNMRスペクトルでは,測定対象の化合物の分子構造に関わらず,分子内の化学シフトの異なる各プロトンシグナルの高さおよび面積比はすべて定量的に観測される.そこで,各測定対象化合物のスペクトル情報のライブラリーを作成した.NMRスペクトル情報については,混合物中の化合物の同定だけでなく定量を視野に入れ,多くの既存NMRデータベースで採用されている化学シフトおよびスピン結合情報以外に,観察されたすべてのシグナルについての分子内強度比,濃度等を入力し,各化合物の化学シフト(ppm)と分子内シグナル強度比(signal top int.%)をXY座標に展開した2次元データとのフィッティングの度合いにより,混合物中の化合物の同定・定量を可能とする化合物ライブラリーとした.数種の化合物を混合した試料を検証用モデル実験に用い,実測スペクトル上の各シグナル頂点の化学シフト(ppm)とシグナル強度比(signal top int.%)を抽出し,化合物ライブラリーとのフィッティング条件として3点以上のシグナル頂点のXY座標がほぼ一致するものを候補化合物とした結果,複数成分を同定・同時定量することが可能であることが確認された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

水環境中の微量有機化合物を同定するためのライブラリー構築およびqNMR定量分析条件について当初の予定通り順調に進展している.一方,検出感度を向上させるためのWET-qNMR条件については更なる検討が必要である.

今後の研究の推進方策

検出感度を向上させるためのWET-qNMR条件についてさらに最適化を進め,高精度な定量分析法としての有効性を示す.また,これまでの検討結果を踏まえ,スペクトルライブラリーをqNMR多変量解析システムに統合し,実用化を図る.

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] NMRによる有機化合物の絶対定量の可能性2012

    • 著者名/発表者名
      杉本直樹, 他
    • 雑誌名

      食品衛生学雑誌

      巻: (inpress)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 定量NMRによるトリコテセン系マイコトキシン類市販試薬の純度決定2012

    • 著者名/発表者名
      田原麻衣子, 他
    • 雑誌名

      Micotoxins

      巻: (inpress)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 定量分析値の信頼性確保のためのqNMRを用いた市販試薬の純度決定2012

    • 著者名/発表者名
      田原麻衣子, 他
    • 雑誌名

      環境化学

      巻: 22 ページ: 33-44

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 分析対象の有機化合物の純度は大丈夫ですか?定量:NMRによる絶対純度測定法の開発2011

    • 著者名/発表者名
      杉本直樹
    • 雑誌名

      日本薬理学雑誌

      巻: 137 ページ: 232-236

    • 査読あり
  • [学会発表] 定量NMRの天然物分析への応用2011

    • 著者名/発表者名
      杉本直樹, 単独
    • 学会等名
      平成23年度試験検査センター技術研修会
    • 発表場所
      日本薬剤師会(東京都新宿区)(招待講演)
    • 年月日
      2011-12-15
  • [学会発表] 核磁気共鳴(NMR)法を利用した定量技術と日本薬局方試薬への応用-NMRによる天然有機化合物の定量分析とその役割-2011

    • 著者名/発表者名
      杉本直樹, 単独
    • 学会等名
      第40回生薬分析シンポジウム
    • 発表場所
      薬業年金会館(大阪府大阪市)(招待講演)
    • 年月日
      2011-12-01
  • [学会発表] qNMRを用いた生薬成分の定量2011

    • 著者名/発表者名
      永津明人, 他
    • 学会等名
      第40回生薬分析シンポジウム
    • 発表場所
      薬業年金会館(大阪府大阪市)
    • 年月日
      2011-12-01
  • [学会発表] NMRによる汚染物質のモニタリング技術の検討2011

    • 著者名/発表者名
      杉本直樹, 他
    • 学会等名
      第48回全国衛生化学技術協議会年会
    • 発表場所
      JA長野県ビル・アクティホール(長野県長野市)
    • 年月日
      2011-11-11
  • [学会発表] qNMRの食品・天然物分析への応用~波及効果と現状~2011

    • 著者名/発表者名
      杉本直樹, 単独
    • 学会等名
      第4回食品薬学シンポジウム
    • 発表場所
      慶應義塾大学薬学部(東京都港区)(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-28
  • [学会発表] NMRによる環境汚染物質市販標準品の純度評価2011

    • 著者名/発表者名
      田原麻衣子, 他
    • 学会等名
      環境科学会2011年会
    • 発表場所
      関西学院大学(兵庫県西宮市)
    • 年月日
      2011-09-09
  • [学会発表] qHNMR法による「ベニバナ赤色素」中のcarthaminの定量2011

    • 著者名/発表者名
      河野桂子, 他
    • 学会等名
      日本食品化学学会第17回総会・学術大会
    • 発表場所
      ビックサイト(東京都西宮市)
    • 年月日
      2011-05-19

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi