研究課題/領域番号 |
22590128
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研究機関 | 愛知県衛生研究所 |
研究代表者 |
伊藤 裕子 愛知県衛生研究所, 衛生化学部, 主任研究員 (80470178)
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研究分担者 |
後藤 智美 愛知県衛生研究所, 衛生化学部, 主任 (10450868)
棚橋 高志 愛知県衛生研究所, 衛生化学部, 主任研究員 (70525766)
大島 晴美 愛知県衛生研究所, 衛生化学部, 室長 (60450863)
三上 栄一 愛知県衛生研究所, 衛生化学部, 部長 (80450865)
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キーワード | 食品衛生 / 加工食品 / 動物用医薬品 / 残留分析 |
研究概要 |
未加工未加熱の食品を対象に構築した分析方法を用いて加工食品を分析することは、多様な成分を有するため困難を伴うことが多い。また、調理加工度の高い加工食品中に残留する物質を効率的に精度よく分析する方法は、食文化の違いから、その開発を諸外国に求めることは難しい。このため、本研究は日本人の食卓を考慮した加工食品を対象として、残留する恐れのある動物用医薬品を簡便かつ迅速に同時定量する方法の構築を目的とする。 日本食の代表的調理法の1つである『照り焼き』には、熱変性した糖類や脂肪などの他、製品によっては、乳化剤、色素などの食品添加物が含まれており、分析する際に妨害となることが多い。この妨害物質を効率よく除去する方法を開発し、トリフェニルメタン系合成殺菌剤とその代謝物の分析に応用した。この薬剤は観賞魚に用いられるため、養殖水産業での使用を想定した加工食品を対象とした。ウナギ蒲焼きの他に、サケ味噌漬け、サケほぐし身、アユ甘露煮に適用したところ、いずれの検体からも測定を妨害する物質は検出されず、添加回収実験において満足できる結果を得た。 また、高速向流クロマトグラフィー(CCC)を動物用医薬品分析へ応用する試みも開始した。この試みは世界的にも先例がないため、まず、基礎検討の一環として、未加熱未加工の食肉、魚、鶏卵、牛乳を対象にサルファ剤分析の前処理に適用した。二相溶媒系には、ヘキサンとアセトニトリルを選択し、円盤型カラムの両端からそれぞれ飽和した二相溶媒をカラム内へ送液する双方向タイプのCCCを用いることにより、脂質の除去が効率よく速やかに行われ、試料の連続処理が可能であった。このシステムにより調製した試験溶液をLC-MS/MS分析に供したところ、食肉と魚については満足できる結果を得たが、鶏卵と牛乳については、再現性に問題があることが判明し、その原因として水分量の関与が推測できた。
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