研究概要 |
平成22年度の目的・実施計画に示したように、meloxicam以外のオキシカム系NSAIDsについて、SH-SY5Y細胞を用いたMPP^+誘発細胞死系(WST-8法・LDH法)で評価した。オキシカム系医薬品であるtenoxicam,piroxicamは、これらの系において細胞死抑制作用を持つことが明らかとなり、抑制活性の程度は、meloxicamと同程度であった。また、抑制メカニズムについてもmeloxicamと同様にPI3 kinase/Akt経路を介していることがWestern blot法によるリン酸化Akt量の改善により示され、オキシカム系医薬品は、共通したメカニズムで神経細胞死抑制作用を持つことがわかった。 一方、piroxicamの誘導体で、オキシカム系構造が一部失われた化合物を3種類評価したところ、これら3種の化合物で細胞死抑制作用が消失していた。また、celecoxibなどのCOX-2選択性の高いコキシブ系NSAIDsにおいても、細胞死抑制作用は見られなかった。したがって、神経細胞死抑制作用を持つNSAIDsは、オキシカム構造を有するNSAIDsのみであることが明らかとなった。 また、計画にしたがって、メカニズム解析を行っており、Akt下流のmTOR経路の関与が示され、第131回薬学会で報告した。またAkt上流経路の検索も現在、検討中である。 さらに、当初の計画に従って、in vivo実験を遂行しているところである。
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