研究課題/領域番号 |
22590129
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
田崎 嘉一 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (60374807)
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研究分担者 |
松原 和夫 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20127533)
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キーワード | パーキンソン病 / オキシカム系NSAIDs / シグナル伝達 / 神経細胞死抑制 / 新規メカニズム / PI3kinase/Akt経路 |
研究概要 |
H23年度の研究計画では、1.オキシカム系NSAIDs(meloxicam等)の細胞系におけるsignalingメカニズムの検討、2.マウスMPTPモデルにおける、オキシカム系NSAIDsの黒質線条体神経細胞死抑制作用とリン酸化Akt減少の抑制作用を生化学的・組織学的検証、を計画した。このうち、計画1については、ヒト神経線維芽細胞SH-SY5Yを用いたMPP^+誘発の神経細胞死の系を用いて検討を行い、オキシカム系NSAIDsの神経細胞死抑制作用において、細胞保護分子のMcl-1が関与していることが明らかとなった。すなわちsiRNAを用いてMcl-1タンパクの発現を減少させると、meloxicamの神経細胞死抑制作用が弱くなった。また、NGF受容体シグナルの阻害剤がmeloxicamの作用を抑制することもわかっており、これまでにわかっているPI3kinase/Akt経路の上流に、NGF受容体が関与する可能性が考えられた。現在、NGF受容体とMcl-1との関連を検討中である。また計画2については、meloxicam反復投与の作用を動物モデルで検討したところ、黒質線条体のドパミン神経変性を抑制し、MPTPによる行動異常を有意に改善した。また、リン酸化Akt減少もmeloxicamは抑制しており、細胞系での結果と合致していた。現在、本結果については、投稿中であり、審査結果を待っている。meloxicam以外のオキシカム系の薬剤については現在、動物モデルでの検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画であったin vitroの細胞死系で、細胞死抑制作用を持つオキシカム系NSAIDs数種を見出し、そのうちmeloxicamを用いて、invivoパーキンソン病モデルでの神経変性効果を見出した。これに関連した論文は、2010年に1報(Tasaki et al., Brain Res.1344,25-33,2010)2012年に1報(下欄に記載)論文化し、動物モデルでの有効性を見出した結果については、現在、投稿中である。現在、メカニズムについて解析中であるが、PI3kinase/Akt/mTOR経路の関与を見出しているが、それ以上の知見が得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
Meloxicamの神経変性抑制作用のメカニズムについて、さらにPI3kinase/Akt経路の上流の関与等の検討を行う。また、in vitro系で有効性の見られた他のオキシカム系薬剤についてもin vivoモデルでの検証を行う。さらにin vivo系で有効性の見られたmeloxicamについては、臨床試験で抗パーキンソン病効果の検討を行う準備をする。
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