研究概要 |
当初の計画通り、過酸化脂質由来の主要アルデヒド、ONEやHNEによる新規Ang II修飾を見出した。さらに、これら修飾体の分別分析に必要となる、イムノアフィニティー抽出によるクリーンアップ法を基盤とするスクリーニング法も構築した。一方、Ang Pに対するAPAの生理活性についても試験済みである。 1.過酸化脂質由来の化学修飾アンジオテンシン(Ang)類の解析:4-Oxo-2(E)-nonenal(ONE)由来の脱炭酸反応による、Ang II上のN末端アスパラギン酸におけるpyruvamide Ang II(Ang P)形成(Lee et al.,Chem.Res.Toxicol.21:2237,2008)に加え、ONEによるArg^2修飾、及び4-hydroxy-2(E)-nonenal(HNE)によるHis^6修飾が起こることを明らかにした。さらに、これらの修飾メカニズムも、モデル反応解析による裏づけから同定することができた。 2.Angと修飾Ang類分析のためのクリーンアップ法及びLC-MSの開発:Ang及び修飾Ang類をモデルシステムあるいは生体試料から効率的に抽出するため、市販の抗Ang II抗体(ポリクローナル)を利用したAng類特異的なイムノアフィニティー精製法を開発した。分離・感度の観点で、LC条件(移動相、カラム、グラジエント)を最適化した。高感度・高選択的LC-MS分析法を、エレクトロスプレーイオン化(ESI)あるいは大気圧化学イオン化(APCI)とtandem mass spectrometry(MS/MS)を用いて開発した。 3.修飾Ang類の生理活性の解析:Ang Pは、Ang IIからAng IIIを生成するaminopeptidase A(APA)によっては代謝されないことが示唆された。各種化学修飾アンジオテンシンと関連酵素(アンジオテンシン変換酵素(ACE),アミノペプチダーゼ(AP)AおよびAPN:各々アンジオテンシンII、III、IV生成に関与)を、親和性、阻害活性の観点で精査した。
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