研究概要 |
1. 過酸化脂質由来の化学修飾アンジオテンシン(Ang)類の解析: 4,5-Epoxy-2(E)-decenal(EDE)との反応では、Ang II N末端のpyrrole環形成(m/z 1096.6)に加え、Arg2の修飾(+EDE-H2O, m/z 1196.7)、及びHis6の修飾(+EDE, m/z 1214.5)を明らかにした。更に、EDE由来のAng IIの修飾構造を、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)による還元反応の前後で質量分析(MS)を行い確認した(Lee et al., J. Toxicol. Sci., under preparation)。 2. 化学修飾のAng関連酵素へ与える影響の精査: 4-Oxo-2(E)-nonenal(ONE)由来のpyruvamide Ang II(Ang P)、cyclized Ang P(Ang C)は、Ang IIからAng IIIに変換するアミノペプチダーゼ(AP)Aにより代謝されないことを明らかにした。 3. 化学修飾のAng関連レセプターへ与える影響の精査: まず、AT1(Ang type 1)及びAT2(Ang type 2)レセプターへの親和性を測定するため、mass spectrometry(MS)を用いた非放射性レセプターアッセイ法を開発した。次いで本法を化学修飾Ang類へ応用し、AT1へのAng P及びAng Cの親和性が、Ang IIのものより大きく減少することを明らかにした(Lee et al., Anal. Biochem., 437:10-16, 2013)。 4. これらの結果より、Ang IIのN-末端上の酸化修飾が、AT1レセプター及びアミノペプチダーゼAとの相互作用を阻害する事を確認し、心血管系の機能調節に影響を与える可能性を示唆した。
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