研究課題/領域番号 |
22590131
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
竹内 和久 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (40260426)
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研究分担者 |
藤原 正子 東北大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (10466534)
戸恒 和人 東北福祉大学, 総合福祉学部, 教授 (10217515)
根本 直 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (70357739)
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キーワード | メタボローム / フェノーム / NMR / 人工透析 / 廃液 / TCA回路 |
研究概要 |
22年度研究成果 「意義・重要性」慢性腎臓病や人工透析の患者は年々増加しているが、各人が複雑な原疾患と病態をもち、進行する病態の的確な把握・予測には従来の検査値と臨床所見による診断では不十分で未解決な部分が多い。われわれは透析患者血漿のNMRメタボロミクスを用いて治療中に乳酸値が増加することを見出した。本法を用いて新規なオーダーメード医療を構築できる可能性がある。 「内容」今年度新たに透析治療廃液を経時的にNMR測定を行い、治療途中および後半に乳酸が増加することを見出した。その経時パターンは原疾患や、治療中の合併症(痙攣、疲労、低血圧)などと相関が見られることが示唆された。すなわち各人の様々な病態と結び付けられる可能性がある。透析患者はエネルギー代謝の偏りを背景に持つが、治療を引き金としたTCA回路の反応不全に陥ることで乳酸が増加すると考えることができる。透析廃液は採取に患者に全く負担がかからずアルブミンなどの高分子をフィルタした低分子プロファイルなのでNMR測定の特長を生かして経時測定可能な病態解析に有用な生体サンプルである。さらにアミノ酸や有機酸なども分子種によってクレアチニンと異なる除去率を持ち、治療中に体内からの産生があることがわかった。現在透析病院から患者検体を系統的に提供いただき、透析前後の血漿と廃液の同時NMR測定も合わせて、体内からの供給総量と代謝反応時間解析を行っている。透析治療の時間経過パターンを分類し、フェノーム、すなわち症状(痙攣、低血圧、疲労)のはっきりした人のプロファイル特定が可能となる。
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