研究課題/領域番号 |
22590134
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
伊藤 善規 岐阜大学, 医学系研究科, 教授 (50159927)
|
キーワード | デキサメタゾン / 口腔内速溶解フィルム / 制吐薬 / 高度催吐性リスク / クロスオーバー試験 / 制吐率 / 外来がん化学療法 / 服用感 |
研究概要 |
【目的】これまでに(株)ツキオカと共同開発したデキサメタゾン(4mg)含有口腔内速溶解フィルム(以下、フィルム製剤)を用いて、がん化学療法時に用いる制吐薬としての有用性を評価するための臨床試験を実施した。【方法】対象は岐阜大学病院外来がん化学療法室にてエピルビシン/シクロホスファミド併用療法が投与された20名の乳癌患者とし、抗がん剤投与1コース目と2コース目においてフィルム製剤と既存の錠剤との安全性、有効性、服用しやすさについての比較試験を行った。なお、制吐療法として全ての患者に、抗がん剤投与前にアプレピタント内服(125mg)、グラニセトロン静注(3mg)およびデキサメタゾン静注(13.2mg)を投与し、2-3日目にはアプレピタント内服(80mg/日)を行った。また、2-4日目までの3日間フィルム製剤(2枚/日)もしくはデキサメタゾン錠(16錠/日)を投与した。試験は1コース目においてフィルム製剤群もしくは錠剤群に無作為に割り付けし、クロスオーバー試験により実施した。1次エンドポイントは抗がん剤投与24時間以内における完全制吐率(悪心なし、嘔吐なし、および救済的制吐薬追加投与なし)とし、2次エンドポイントとして2日目以降5日目までの期間における完全制吐率、その他の副作用発現率、および服用感に関する患者アンケート結果とした。【結果】遅発期における完全制吐率は、錠剤群60%に対してフィルム製剤群55%であり、両群間で差がなかった。急性期および全期間における完全制吐率も両群間で差がなかった。さらに、便秘ならびに血液毒性の発現率も両群間で差がなかった。一方、服用感については、服用量および服用しやすさの項目でフィルム製剤群が有意に優れたスコアを示した。【考察】現段階ではフィルム製剤の臨床での有用性が明らかとなり、今後さらに症例数を追加する必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定症例数100例に対して現時点では20例である。当初、大腸癌患者と乳癌患者を対象としていたが、大腸癌患者では他の臨床試験および治験の予定が入り、患者確保が困難となったため、乳癌患者のみで実施することになった。
|
今後の研究の推進方策 |
症例数が少なくなることが予想されるため、対象を高度催吐性リスク抗がん剤レジメンが行われる通院中の乳癌患者のみに絞り、かつ、化学療法施行1コース目と2コース目に限定することにより、よりばらつきの少ない均一なデータ確保に努める予定である。
|