前年度までの検討により、選択的ドーパミントランスポーター阻害薬であるGBR12909は脳内自己刺激行動のRun-way法における動機づけ行動を促進し、その促進作用はドーパミンD2受容体拮抗薬であるRacloprideにより拮抗されることを明らかにした。本年度は、本動機づけ行動におけるドーパミン受容体の関わりを、より明確とすることを目的に、選択的D1受容体作動薬SKF38393および選択的D2受容体作動薬quinpiroleを用いて、受容体刺激実験を行った。その結果、SKF38393あるいはquinpiroleのいずれの薬物を単独投与した場合でも、用量依存的な走行スピードの低下が認められた。さらに、これらの薬物の、単独では有意な作用を示さなかった用量を同時投与した場合にも、走行スピードは有意に低下した。 これらの結果から、本動機づけ行動においてドーパミントランスポーター阻害薬によるドーパミン神経伝達の促進、あるいは内因性ドーパミン伝達の増強は動機づけ行動の促進に働くが、ドーパミン受容体作動薬による刺激によっては本動機づけ行動は促進されず、逆に抑制されることが明らかとなった。 さらに本年度は、これまでに得られた結果から論文を作成し、Behavioural Brain Research誌にて発表した。
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