研究課題/領域番号 |
22590136
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
平田 純生 熊本大学, 薬学部, 教授 (10432999)
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研究分担者 |
西 一彦 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (30264287)
竹澤 真吾 九州保健福祉大学, 保健科学部, 教授 (30171630)
門脇 大介 熊本大学, 生命科学研究部, 講師 (70433000)
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キーワード | 血液透析 / 透析による薬物除去 / 透析膜への薬物吸着 / 超小型透析器 / 透析ラットモデル / アミノグリコシド系抗菌 / AN69膜 / 透析除去率予測式 |
研究概要 |
透析によって除去される薬物は透析後に補充しないと治療効果が期待できないが、透析による薬物の挙動についての報告は極めて少ない。そのため血液透析を徹底的に科学する系統的な研究を行い、臨床適用可能な薬物除去率予測式を完成させ、除去率算出のための臨床治験を不要にしたい。 薬物除去率予測式を臨床適応可能にするために独自に開発した超小型透析器を用いたin vitro透析モデルによる実験系を用いて吸着による影響について詳細に検討した。さらに加in vivo透析モデルラットを用いて予測された薬物除去率と実測値の整合性について検討した。今後、様々な除去率変動要因を明らかることによって、今後、精度の高い予測式の完成を目指す。22年度成果は以下のとおりである。 1) In vitroによる各種アミノグリコシド系抗菌薬のリン酸緩衝生食溶液を超小型透析器に循環することによる水系吸着実験を行った結果、AN69膜はこれらの薬物の吸着力が高く、そのうちアルベカシンに関してはin vitroの結果と臨床成績とがほぼ一致したため、この実験法の妥当性が検証された。またアミノグリコシド系抗菌薬の中毒時の治療にAN69膜による薬物吸着の有用性が示唆された。 2)両側腎動脈結紮ラットは無尿であるため早期に死亡するが、長期生存し、様々な実験が可能になるよう、その死亡原因を解明した。高カリウム血症、アシドーシス、高窒素血症を防ぐ食餌・水分制限、透析方法を工夫することによって長期生存可能な透析モデルラットを開発中である。 3)ドリペネムの透析による除去率を臨床データをもとに解析し、透析患者の適正使用を可能にした。 これらのin vitro実験、透析モデルラットによる薬物除去率の検討、臨床研究によって、より正確な薬物除去率予測式を完成する予定である。
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